「継続は力なり」
この言葉は、私が小学校のときに通っていたスイミングスクールで、泳ぐ前に必ず復唱していた(させられていた)言葉です。
小学生のときはわけも分からず、ただ声を出して文字を読んでいるだけでしたが、年齢が上がるにつれてその言葉の重みを知るようになりました。
今回はこの「継続は力なり」ということについて所感を語りたいと思います。
将棋界の生ける伝説、羽生善治九段が「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2006/7/13放送)において
「 才能とは、一瞬のひらめきやきらめきではなく、情熱や努力を継続できる力だ 」
と語っています。
また、著書「決断力」(2005、角川書店)の中においては
「報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。」
と記しています。
羽生九段は、「継続する」ということに高い価値を見出していて、「漢字を毎日1文字ずつ書き続けるということにしても、それを何年、何十年と続けるということは、非常に難しいこと」ということも語っています。
たしかに、漢字にしても、ランニングにしても、ブログにしても、毎日同じ物事を続けられるということは、誰にでもできることではないのかもしれません。
しかし、社会における「成功者」と呼ばれる人物は、ほぼ100%といっていいほど何かしらを「継続」しています。

野球界におけるレジェンド「イチロー」選手はこのような言葉をインタビューで語っています。
「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。」
これは、誰にでもできるような簡単なこと、小さなことでも、継続することで大きな成功へとつながる、というように言い換えることもできるかと思います。
ただ、ここで注意しておきたいのが、「継続の仕方」も関わってくるのではないかということです。
毎日バットで素振りを行うとしても、何も考えず素振りを行うのと、毎回打点やスイングの角度、スピードなどを考えながら素振りを行うのとでは結果に雲泥の差が出ます。そのため、継続の中にも変化を求めていかなくてはなりません。
その日の体調、外的環境、年齢など、同じことを続けていても、同じ結果が出るとは限りません。人を相手にする勝負、競争などでは尚更同じ結果を得ることはできません。
どうすればよい結果を維持することができるのか、どうすれば同じ行動や思考が保てるのか、そのようなことを考えながら、継続していかなければ「継続」という価値は薄れてしまいます。
「継続」ということは成功するために必要な最低限の要素であって、その「継続の仕方」によって、成功への時間、成功の仕方なども変わってきます。

これらのことをピンポイントで示している言葉が漫画「始めの一歩」に出てきます。
まず、継続することについて

「努力した者が全て報われるとは限らん」
「しかし!!」
「成功したものは皆すべからく努力しておる!!」
「はじめの一歩(42巻)」(講談社、1998)
という言葉を主人公を育てたジムの会長(鴨川源治)が言っています
「努力」という言葉を「継続」に代えて読んでみるとよいかもしれませんが、「継続」というのは成功の前提条件であり、「継続」したからといって必ず報われるとは限らないけれども、成功のためには必須となってくる要素だということが、この言葉からわかります。
また、この鴨川会長はこのような言葉も残しています。

「毎日の積み重ねがキサマらを弱くする!」
「四六時中ボクサーであることを自覚しろ」
「漫然と日々を過ごすなっ」
「自分に足りないモノ必要なモノを常に考えて行動せよ!!」
「はじめの一歩(89巻)」(講談社、2009)
この言葉は上記でもお話した「継続の仕方」に関する言葉です。
この言葉を初めて見たとき、ハッとさせられました。積み重ねがあれば、成功はせずとも必ずよい方向へ向かっていると考えていた私にとって、この言葉は衝撃的でした。
ただ漫然と「継続」したとしても、それは必ずしも成功へとつながるばかりではなく、逆に成功から遠ざけている可能性もあるという言葉。
足りないもの、必要なものを考えて継続をしなければ、ただ時間を食いつぶしてしまうことになりかねません。
「継続」は確かに「力」となります。それは間違いありません。
ただし、「継続の仕方」について深く考えていかなければ、自分の望む「成功」へとは近づけません。
「継続」の中にも「分析」そして改めて「実行」という過程があり、そのサイクルを守る中で、己を高めていける人のみ「成功」への道は拓けるのかもしれません。
今回は「継続は力なり」という言葉について考えてみましたが、このブログにしたって適切な継続ができているとはいえません。
自分自身が成功していないため、偉そうなことはいえないのですが、自身に対する戒めの意味もこめて今回の記事を書きました。
成功を目指す方々の活力となれば幸いです。