乳幼児期の運動発達について~子どもの運動能力はどのように発達していく?~

運動・健康

今回は乳幼児期の運動発達についてお話ししようと思います。

乳幼児期は心身の成長が著しい時期であり、特に身体能力に関しては驚くべきスピードで発達していきます。それに比例して運動能力も発達していくわけですが、運動能力とはどのように発達していくのでしょうか。

①反射的な運動の段階

ミルクを飲む赤ちゃん

0歳~2歳ごろまでは生まれ持った「反射的な運動」が中心となります。そのため、自らの意思とは関係なく運動を行っていることがほとんどです。代表的な反射的な運動をご紹介します。

・探索反射

頬をつつくとその方向へと唇がおっていく反射です。口角反射ともいわれます。乳首を探すために必要な反射であり、生命維持には欠かせない反射といえます。

・吸啜(きゅうてつ)反射

口の中に指を入れると吸い込む反射です。母乳を飲むために必要な反射であり、探索反射とともに生命維持には欠かすことのできない反射といえます。

・モロー反射

頭を支えていた手を離すと、抱き着くような腕伸ばしをする反射です。自分の身を守るためや、落下を防ぐためなどに備わっているといわれています。中枢神経の正常性を図る指標として利用されたり、核黄疸という病気を発見するための指標として利用されたりします。

・把握反射

手のひらを指でつつくと握りしめる反射です。把持反射ともいわれます。将来ものを握るために必要な反射となりますが、把握反射が見られなかったり、握る力が弱い場合は中枢神経系や上部脊髄に障害があることが疑われます。

・歩行反射

足が床につくと左右交互に足踏みをする反射です。二足歩行へとつながっていく反射です。通常は産まれてから1~2か月で消失するといわれていますが、消失しない場合は中枢神経系の異常が疑われます。

・足蹠(そくせき)反射

足の外側をなぞると、親指は足の甲側に反り返り、他の4本の指は開くという反射です。バビンスキー反射とも呼ばれます。新生児の足蹠反射は問題ありませんが、大人でこの反射が見られる場合は随意運動を支配する錐体路の障害が疑われます。

②初歩的な運動の段階

ボールを握っている赤ちゃん

反射的な運動の段階から発達が進むと初歩的な運動の段階へと移ります2歳頃までに見られる運動であり、大きく以下の2つの運動に分類されます。

粗大運動

粗大運動とは、歩く、跳ぶ、這う、座るなどの姿勢を維持したり移動したりする動作のことを指します。全身を使った動きが多く、生活を送るうえで欠かせない基本的動作ともいえます。粗大運動が徐々にみられるようになると同時に、反射的な運動が減っていきます。

・微細運動

微細運動とは、掴む、つまむ、持つ、握るなどの手や指を使った細かい動作のことを指します。文字を書いたり、箸を握ったりといった道具を扱う動作へと繋がっていくため、粗大運動とともに生活に必要な動作といえます。

③基礎的な運動の段階

遊具で遊ぶ子ども

基礎的な運動の段階で身につけるべき運動スキルとは、「2つあるいはそれ以上の身体部位の運動パターンの組み合わせでできあがっている一連の運動のまとまり(Gallahue、1999)」とされており、2歳~7歳で習得するといわれています。まずは運動を形成する3つの能力についてご説明します。

・運動を形成する3つの能力

①力量的コントロール能力

どのくらいの力で体を動かすのか、ということを判断する能力となります。乳幼児期は0%か100%といったように極端な力発揮の方法しかできませんが、発達が進むにつれて全力の50%や30%など、微妙な力発揮が可能となってきます。

②時間的コントロール能力

どのような順序やタイミングで体を動かすのか、ということを判断する能力となります。この力の発達が進むことによって、ゆっくりとした動き、早い動きなど、緩急をつけることが可能となってきます。

③空間的コントロール能力

体の様々な部位をどの方向に動かすのか、ということを判断する能力となります。上下左右、前後、斜め方向など、自分の体を様々な方向に動かすことはもちろん、周りの人や道具との距離感を図る能力でもあります。

トランポリンで遊ぶ子ども

そして、上記3つの能力を組み合わせることによって、以下の「運動スキル」が形成されます。

・姿勢制御運動スキル

姿勢制御運動スキルとはいわゆる体のバランスを保つ能力であり、以下の移動運動、操作運動の基礎を形成する運動スキルでもあります。首や腰が座っていないと歩けなかったり、同じ力を維持しながらものをもったりするように、生活の中でも必須といえるスキルといえます。

・移動運動スキル

身体がある位置から他の位置へ水平に、あるいは垂直に移動する運動でのことを指します。つまり、歩いたり、走ったり、跳んだり、座ったりするスキルです。自分の体をその地点から移動させるスキルといえます。

・操作運動スキル

操作運動は大きく大筋と小筋の運動に分けられます。大筋の操作運動とは、対象に力を加えること、あるいは対象から力を受けることに関係する運動とされています。一方、小筋の運動とは、運動コントロ―ルや運動の精緻さ、正確さが重要とされる運動であり、いわゆる対象を手で操作する動作のことといえます。

引用:平成26年「幼児期における遊びとしての運動の在り方についての実践研究~遊びへの熱中度と身体活動量に着日して~」、藤池

④専門的な運動の段階

サッカーボールを蹴る子ども

専門的な運動の段階は、それぞれの目的に必要な技術を習得する段階となります。おおよそ7歳以降で習得していくことが多いのですが、例えば、サッカーというスポーツに親しんでいる場合、ドリブルやパス、シュートといったサッカーに必要となる専門的な動作を習得していきます。また、ドアをひねりながら引く、シャワーを浴びるなど、日常生活に必要な動作も、家庭によって様々な形で習得されていきます。

おもちゃで遊ぶ幼児

今回は乳幼児期の運動の発達についてお話をしました。あまり意識したことがないかもしれませんが、発達の仕方を知ることで、それぞれの発達段階に合った遊びを考えるきっかけとなったり、普段の生活で見られる動きを客観的に見ることができたりするのではないでしょうか。何かしらの役に立てれば幸いです。

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