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運動遊びの時間と強度

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運動遊びが子どもの成長に有効であるということは、言うまでもない事実だと思います。しかし、どのような運動遊びにどの程度取り組むことが有効なのか、ということについて考えたことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、運動遊びに必要とされる時間と強度についてお話します。

①運動遊びの時間

まずは運動遊びの時間についてみていきましょう。
運動遊びの時間とは、ここでは具体的に「実施時間」のことを指しています。つまり、どれだけの時間、運動遊びに取り組むことが最適なのか、ということについてお話していきます。

幼児に関わる職業の方は、ほとんどの方が知っているかも知れませんが、日本では幼児期に取り組むべき運動時間の基準というものが存在します。それは、文部科学省が作成した「幼児期運動指針」という指針に示されています。

「幼児期運動指針」においては、

「毎日、合計60分以上」(文部科学省、幼児期運動指針,2012)

の運動が推奨されています。1日全ての運動を合わせて、せめて60分は動きましょうということですね。
実はこの基準は日本が独自に決めたものではなく、世界の基準をもとに定めたものとなっています。
そのもととなった基準を定めているのが世界保健機関(WHO)です。WHOでは、

「毎日、合計60分以上の中強度から高強度の身体活動」
(WHO:Global Recommendations on Physical Activity for Health,2010)

という基準が定められており、この基準は世界各国の運動指針の基盤として活用されています。WHOでは運動強度について言及されていますが、日本が定めている基準とほとんど変わりませんね。ということは、日本だけでなく、世界の子ども達にとっても、「毎日60分以上」の運動に触れることは非常に重要なことだということがわかります。

子ども達は遊びの達人ですので、1日合計60分以上動き回るのなどはへっちゃらかもしれませんが、このような基準や指針が発表されているということは、世界中で1日60分以上の運動という基準をクリアできていない子どもが大勢いるということです。

幼稚園や保育園、こども園では連続して60分の運動時間を確保することは難しいかもしれませんが、要所要所で運動を取り入れることができれば、合計時間として確保することは難しくないかと思います。保育者に限らず、大人が「1日合計60分以上」という基準を知っているというだけで、どのくらい運動に触れさせるか、という意識に変化が出てくると思われます。
厳密に時間を計る必要はありませんので、だいたいの目安として「1日、60分以上」という時間を確保しつつ、子どもと一緒に遊んでみるとよいかもしれませんね。


②運動遊びの強度

続いて、運動遊びの強度についてお話していきます。

前の項目でも少し触れましたが、日本の幼児期運動指針と違い、WHOでは「中強度から高強度」という「運動強度」の定めがあります。WHOの基準は5歳~17歳を対象としたものであり、幼児にしっかりと当てはまっているわけではないものの、より活動的であるほうがよいということに変わりはありません。そのため、可能な限り「中強度~高強度」の運動に触れられるほうが好ましいといえるでしょう。

では、どのような運動が 「中強度~高強度」 にあてはまるのでしょうか。

●METs

強度を示す単位の一つに「METs」という単位があります。
この単位は、身体活動の強さが「安静時の何倍に相当するか」ということを表す単位であり、日本では「国立健康・栄養研究所」が2012年に「身体活動のMETs表」と言うものを公表しています。この表には、様々な運動のMETsが示されていて、どのような運動がどの程度の強度となっているかを知ることができます。

ちなみに、WHOでは安静時の3倍~5.9倍の強度で行う運動を「中強度運動」、6倍以上の強度で行う運動を「高強度運動」としています。特に、子どもを含む未成年者は7倍以上で高強度運動と認識されます。つまり3~5.9METsの運動が中強度、6または7METs以上の運動が高強度として示されています。

では、中強度の運動にはどのような運動があるかみていきましょう。

中強度運動
 ・階段を降りる(3.5METs)
  ・散歩 (3.5METs)
  ・体操 (3.8METs)
  ・一輪車 に乗る(5.0METs)
  ・ソフトボール、野球( 5.0METs )
・バドミントン(試合以外)( 5.5METs )

高強度運動
  ・ジョギング(7.0METs)
  ・サッカー(遊びとして) (7.0METs)
  ・なわとび(12.3METs)
  ・マラソン (13.3METs)
  ・走って階段を上がる (15.0METs)
 
国立健康・栄養研究所(身体活動のMETs表:2012年)

それぞれの強度に該当する運動を少しだけ紹介しましたが、METs表には日常生活や職業別のMETsなどが細かく記載されていますので、気になる方はチェックしてみてください。(ただし、あくまで成人を対象とした表となります。)

話を戻しますが、上記に紹介した中強度以上の運動を合計で1日60分は確保しましょう、というのがWHOが推奨している運動基準となります。時間はもちろんのこと、運動強度についても、この基準をクリアできていない子どもが大勢いるのが現状です。

運動遊びに取り組ませる際には、厳密にMETsに基づいて運動をする必要はありませんが、運動強度についても意識しながら取り組めると、子ども達の健康や成長につながることは間違いありません。


●運動の多様性

運動強度とともに、「運動遊びの質」に関わってくる要因として、「多様性」を挙げておきたいと思います。この多様性という言葉も抽象的ではありますので、具体的にどうすれば多様性に富んだ運動に取り組めるのかお話したいと思います。

多様性とは「いろいろと種類の違ったものがあること。また、そのさま。(大辞泉)」と示されていますが、簡単にいえば多くの種類、様式の遊びに触れ、いろいろな体の動かし方を経験することが大切ということです。運動量が多いからといって、鬼ごっこばかりしていては投能力や手先の巧緻性などの発達が不十分になってしまう可能性もありますし、逆に手先だけを動かしていても、全身の発達は望めません。
そのため、ボールで遊んだり、足で何かを掴んだり、全身で転がってみたりと、様々な運動に触れながら、自分の体の動かし方を学んでいくことが、子どもの発達や成長につながっていくのです。


今回は、「運動遊びの時間と強度」についてお話しました。
どのような遊びに取り組むか、ということより、どのような意識で運動遊びを捉えていくか、ということが中心となりましたが、この記事を読んで、一人でも多くの保育者、大人の方が子ども達の運動遊びについて考えてくれると幸いです。

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