遊びの環境が1~2歳児に与える影響!! 環境設定の大切さについて!!

ベビー

今回は遊びの環境についてお話をしたいと思います。

こどもの生活の一部ともいえる「遊び」ですが、その環境が子どもの「社会情動的能力」に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

「社会情動的能力」とは「非認知能力」とも呼ばれ、数値化することが難しい「コミュニケーション能力」や「我慢強さ」などの能力を指す言葉です(反対に通知表やテストの点数、IQなどは「認知能力」と呼ばれます)。

近年、この「社会情動的能力」は、将来の収入や社会的地位と関係していると言われており、幼児教育の中でも非常に重要とされています。

今回は、その社会情動的能力に遊びの環境が与える影響についての論文が発表されていますので、かいつまんでご紹介したいと思います。

参考論文:中道・砂上・髙橋・岩田(2022)「保育における「環境の質」が1-2歳児の社会情動的能力に及ぼす影響」、保育学研究60巻(1)、45-56

絵本を読む子ども

研究の対象

1-2歳児:829名(男児440名、女児389名)

①遊びの環境設定が問題行動の少なさに影響する

今回の研究では、保育所における「遊びの環境設定」が1-2歳児の問題行動の少なさに影響を及ぼすことが明らかとなりました。これは、子ども要因(月齢や性別、生まれた順番)や家庭要因(保護者の年齢や性別、教育を受けた年数、世帯収入、養育の態度)の影響を含めた場合の結果であり、遊びの環境設定が問題行動の頻度に重要な役割を果たす可能性を示しています。

また、反対に「展示・掲示」に注力している環境では、子どもの問題行動が増える可能性が示されました。これは、展示や掲示物に意識が行き過ぎるがあまり、子どもへの対応が遅れたり、心理的余裕がなくなってしまうがゆえに、結果的に問題行動が増えてしまった可能性が考えられています。

痛がるこども

②家庭での養育が不十分な場合、保育現場での環境設定の質が問題行動を減らす

二つ目に明らかになったこととして、家庭での養育経験が十分でない子どもの発達に対して、保育現場の環境設定の質が問題行動の少なさに影響する可能性が示されました。つまり、家庭で子どもとの時間が十分にとれていない場合、保育現場での遊びの環境設定の質が問題行動を減らすということです。共働き世代が増えている現代、なかなか子どもとの時間がとれない家庭も多くなっているかと思いますが、そのような家庭の場合、保育現場での遊びの環境設定がより大きな影響を及ぼす可能性が示される結果となりました。

膝を抱えて座る子ども

③「遊びの環境設定」は問題行動の頻度に影響を及ぼし、「大人との関わり」は社会性に影響を及ぼす

「遊びの環境設定」は問題行動の頻度に影響を及ぼしましたが、あくまで間接的な関わりであり、社会情動的能力の中でも社会性と呼ばれるコミュニケーション力や、積極性、協調性などは、大人との直接的な関わりが影響する可能性が示されました。

赤ちゃんに微笑みかける父親

まとめ

ここまでの内容をまとめると

・保育現場における遊びの環境設定の質は、問題行動を減らす。特に、家庭での養育が十分にできていない子どもには、より大きな影響を与える。

・社会性に影響するのはあくまで大人の直接的な関わりである。

といった感じになるかと思います。

保護者の方々は保育現場で子どもがどのように遊んでいるか、なかなか把握できないかもしれませんが、入園をする際にどのような環境で遊んでいるのか、自分の子どもに合っているのか、ということなどを見たうえで入園を検討すると良いのかもしれません。1-2歳の時点で保育所等に入っていない場合は、家庭での環境が関わってくるかと思いますが、ポイントとしては、夢中になる・没頭する時間をできるだけ多く経験させてあげることが重要になるのではないかと思います。そのため、過度に関わり過ぎず、一人遊びの時間を大切にしてあげることも重要となるのではないでしょうか。

夢中で土遊びをする子ども達

今回は「遊びの環境設定」に関わる話を紹介しました。今後も論文などを参考に、保育や子育てに関わる話を紹介できればと考えていますので、よかったらご覧ください。

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