今回はパラバルーン(カラーバルーン)を使った演技、遊びについてお話ししていきます。
パラバルーンという言葉を聞いたことがあるでしょうか。もしかしたら、あまりなじみのない方もいるかもしれません。しかし、パラバルーンは幼児教育において大きな教育効果をもたらしますので、ここで演技、遊びの仕方について知り、ぜひ取り組んでみてください!!
◎パラバルーン(カラーバルーン)とは
パラバルーン(カラーバルーン)とは、集団で演技することを目的に作られた直径6~8m程度の大きな布のことです。パラシュートとバルーンを組み合わせたものということで「パラバルーン」という名前がつけられたと言われています。 ナイロンやパラシュートクロスなどの非常に軽い素材で作られているため、怪我をする心配もなく、安全に表現を楽しむことができます。
では、パラバルーンで遊ぶことでどのような効果が得られるのでしょうか。
①協調性を養うことができる
パラバルーンは集団で遊ぶことを目的につくられているため、演技、遊びを通して協調性を養うことができます。バルーンを上げる、下げる、張るなどの動きには、タイミング、力加減などの細かい調整が必要となり、必然的に呼吸を合わせる必要があります。そのため、パラバルーンで演技をしたり、遊んだりすることは、集団で一つの作品を表現することにつながり、自然と協調性を高めることができます。
②筋力、リズム感を養うことができる
パラバルーン自体は軽い布なのですが、演技にメリハリをつけるためには相当な力が必要となります。「張る」という動作一つにしても、全員が一定以上の力で布を引きつけなければ、布の一部が緩んでしまい、均一な張りを持たせることができません。
また、パラバルーンの「技」といわれる演技にはほとんどの場合「タイミング」が重要となります。そのため、音楽や手拍子からリズム、テンポなどを感じとって演技を行わなければなりません。
もちろん、他の要素についても複合的に伸ばすことができますが、筋力とリズム感の向上に関しては特に有効といえるでしょう。
③表現力を養うことができる
大きさ、速さ、力などを調節しながら、かっこよさ、かわいさ、軽快さ、怖さなど、様々な様相を表現することができます。特に、高さ、方向、奥行きを利用した空間的表現が可能であるため、普段は表せないようなダイナミックな表現をすることができます。
他にもパラバルーンで演技、遊ぶことのよさはあるとは思いますが、大きく3つに分けてみました。自分のことでいっぱいになってしまう幼児期において、友達と力を合わせながら一つの作品を表現するということは、社会性を育むためにも非常に有意義であるといえます。
◎基本的な技
さて、運動会などで取り組まれることの多いパラバルーンですが、基本的な技をいくつか紹介したいと思います。
※基本的な型としては、全員が布のふちをもって自分のいるほうに布を引っ張り、布が張った状態を基本の型とします。
①波(小波、大波、横波)
布を上下に細かく動かします。このとき、全員で息を合わせる必要はありません。それぞれが思うようにバルーンを動かすことで、様々なタイミングで波が起こります。小さく動かせば小波、大きく動かせば大波と、波の大きさを変えることで表現に違いを出すことができます。
また、ふちをもったまま、バルーンを左右に動かします。そうすると横波を起こすことができます。横波に関しては息を合わせて同じ方向に波を起こす必要があります。
②飛行機
片手でバルーンのふちをもち、時計回り、もしくは反時計回りに行進をします。そのとき、空いた片方の手をぴんと横に伸ばし、飛行機の翼を表現します。シンプルな技ですが、カラフルなバルーンで行うとより色合いが映えます。
③メリーゴーランド
要領は前述した「飛行機」と同じように、片手でパラバルーンのふちをつかみ、同じ方向に行進をします。そのときにバルーンの下から保育者、もしくは代表者1名がもぐりこみ、バルーンの中心に立ちます。そして、中心にいる人はバルーンを下からできるだけ高くあげます。中からだと分かりにくいですが、外から見るとバルーンの中心部分が高くなり、メリーゴーランドの天井のような形に見えます。(中心部分に入る人の身長が高ければ高いほど、高低差が生まれ、はっきりとしたメリーゴーランドとなります。)
④ウェーブ
「波」と似た部分もありますが、順番に規則正しく高低差を出していく点で難易度が上がります。
1人がバルーンのふちを通常持っている高さから頭の上まで上げ、維持することなく元の位置に戻します。そして、元の位置に戻すのと同じタイミングで隣の人はバルーンを頭の上に上げ、同じように維持することなく下ろします。これを何度も繰り返し、高低差を規則正しく繰り返していきます
⑤シーソー
張っているバルーンの面に傾斜をつける技です。
対角線上に向かい合う代表者2人を決め、片方はバルーンを高くあげ、片方はバルーンを地面につけます。そして、周りの人は代表者2名に合わせてバルーンが斜めになるよう角度をつけていきます。
一定時間が経過したら、傾斜が反対になるよう代表者のもっているバルーンの高さを変えます。これを繰り返すと、シーソーのように片方が高くなり、片方が低くなるよう面の傾斜に変化をつけることができます。
⑥山
パラバルーンで盛り上がる技の一つです。息を合わせてバルーンを下から上に勢いよく上げます。そして、中央に空気を溜めながら握っているバルーンのふちを地面につけ、中心の空気が漏れないように「蓋」をします。そうすると、空気が入った中央部分が膨らみ「山」のようになります。
ふちをお尻の下に敷き、お尻で蓋をするように座ってみると、演技をしている人の顔が外側を向くので、シャッターチャンスにはよいかもしれません。
⑦おまんじゅう
前述の「山」と同じように、中央に空気を溜めて蓋をする技です。ただし、山と違う部分は、自分たちがバルーンの中に入り込んで蓋をするという点です。
下から上にバルーンを勢いよく上げ、空気を閉じ込めるときに、自分たちもバルーンの中に入ります。そして、バルーンのふちをお尻の下に敷き蓋をします。
外から見るとまんまるのおまんじゅうのように見え、中に入っている人達は秘密基地の中にいるような感じを体験することができます。
⑧気球
この技は空気を中央に溜めつつ、高さを出していく技です。
「山」や「おまんじゅう」と同様に勢いよく下から上へとバルーンを上げます。そのとき、演技者はバルーンを上げながら中央に集まります。そうすると、バルーンの中央部分は高く上がり、ふちはすぼむような形になるため、外から見ると気球のような形になります。
そして、高く上がった後は、演技者が後ろに下がりながら元の位置に戻ります。
技の時間は短いものの、盛り上がりを表現したいときに最適な技といえます。
⑨花
バルーンの上(中心部分)に代表者1名がのり、その代表者を中心に花を表現していく技です。
バルーンを地面につけ、代表者がバルーンの中心部に向かいます。中心部に代表者がついたら、周りの演技者はバルーンの高さを通常時の高さに戻します。
代表者を中心に周りの演技者は時計回り、または反時計周りに回りながら代表者に近づいていきます。
再接近した時点でも完成ですが、周りの演技者がしゃがみ、代表者が中心部でポーズなどを決めることができれば盛り上げることができるでしょう。
⑩花火
クライマックスにぴったりの迫力満点の技です。盛り上げたいときには最適な技といえるでしょう。
この技はカラーボールと呼ばれる軽いテニスボールほどのボールを使います。
花火を打ち上げる直前にバルーンの中央部分にカラーボールを集めます。ボールが集まったら、息を合わせてバルーンを一斉に下に引き下げます。すると、反動で中央に集まっていたボールが花火のように一気に打ち上がります。
コツとしては、通常時よりも少しだけバルーンのふちを上げます。そして、引き下げるときは真下に引き下げるのではなく、自分の足首あたりをめがけて斜め下に引き下げます。そうすることで、バルーンを一気に「張る」ことができ、より強い反動を生み出すことができます。
全員の息がぴったり合って、ボールが高く打ち上げられたときは感動とともにこれまでにない演技者の一体感がうまれます。
今回はパラバルーンについてお話しました。集団の団結力や結束力を高めたいときにはおすすめの運動です。運動会やお遊戯会などでも非常に人気のある演技ですので、発表会などにも最適です。ぜひ、幼児を中心に取り組んでみてください。
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