小学校教員から大学教員になる方法① 実務家教員

雑記

今回は小学校教員から大学教員になる方法の一つ目について書きたいと思います。

今回紹介する方法は、私の記事の中では最初に紹介しますが、正直なところ「王道」ではありません。
先に申し上げておきますと、

①小学校教員として20年以上の勤務経験がある方

②校長、教頭、または研修における講師経験、実践研究などの実績がある方

が対象となります。

そのため、どちらかと言うと中堅〜ベテラン教員の方に向けた記事になります。


もちろん、若手の方に向けた記事も作成しますので(こちらのほうが王道)、よかったらそちらもご覧ください。

①小学校教員教員として20年以上の勤務経験がある方

日本には、「高度専門職業人の養成」を目的とした大学院である「専門職大学院」というものがあります。

その分野は法律、会計、経営、教育、知的財産、情報技術、ファッションビジネスなど様々です。

その中でも、教育分野においては、「教職大学院」という名前で大学院が設置されています。

基本的に専門職大学院には3割以上の「実務家教員」を専任とすることが義務付けられており、特に、教職大学院においては専任教員の4割以上を実務家教員とすることとされています。

このことからわかるように、教職大学院においては、現場での実務経験がある教員が求められているのです。

実務家教員の実務経験については、基本的におおむね5年以上とされていますが、教職大学院においてはおおむね20年程度の経験が必要であるとされています。

もちろん、20年以上でないといけないという決まりではないのですが、目安が文部科学省から設定されている以上、20年を超えている人が望ましいのは言うまでもないでしょう。

以上のことから、現場での経験が豊富な方が大学教員を目指す場合、「実務家教員」として教職大学院への就職を目指すことが近道となります。

実際、公募サイトでも実務家教員を募集している場合は20年以上の職務経験を条件としていることありますが、それだけで若手の教員は条件から外れますので、対象者となる教員の数が減ります。

つまり、倍率が下がるため、大学教員として採用される確率が上がるということになります。

教職大学院は現場での「経験」を求めていますので、現場で長年教育に携わってこられた方はその「経験」が大きな武器となるのです。

※別の記事でも書こうと思っていますが、就職先を見つける具体的な方法としては、「jrecin」というポータルサイトで教職大学院の公募を検索するという方法が一般的です。

②校長、教頭、または研修における講師経験、実践研究などの実績がある方

こちらも先述した教職大学院への就職がねらいとなります。

①では20年以上の勤務経験が必要との話をしましたが、校長や教頭などの役職を担った方であれば、採用される確率はさらに高くなります。

また、20年以上の勤務経験がなかったとしても、研修での講師経験や研究会などでの実践研究の経験がある方などは、その実績が強みとなり採用に結びつくことがあります。

研修での講師経験というのは、教育委員会での指導主事など、誰かを指導する立場であれば実績となります。

研究会においては、あまりにもマイナーな研究会であれば実績にするのは難しいですが、毎年定期的に公開研究会を開いていたり、実践研究を行っていたりする場合は実績とすることができるでしょう。

以上のことから、教員生活の中で誰かを指導する立場にあった方は、大学教員への採用の際も有利に働きます。

大学教員として採用されるために

上記では中堅~ベテラン教員が大学教員となる方法を挙げましたが、これらは「職歴」に関する事項です。そのため、教員として働いていればおのずとついてくる要素も含まれています。

しかしながら、さらに採用確率を高めるためには自分で取り組むことのできる「実績」の部分が大きく影響します。

後々大学教員を目指す方は、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

①論文の執筆

論文というと堅苦しく、難しいイメージがあるかもしれませんが、論文にはいろいろな種類があります。


まずは、一般的に論文と呼ばれる「原著論文」ですが、この論文は基本的には10ページ以上で執筆することが多く、査読という学会誌等への掲載の可否を審査する工程のある論文です。

「紀要論文」という査読がなかったり、査読のハードルが低かったりする論文もありますが、一般的な論文とはこの原著論文を指すと考えてよいでしょう。

次に、「研究ノート」という種類があります。基本的には原著論文と同様のかたちとなりますが、実験や検証が進んでおらず、明確な知見の実証ができないものが研究ノートとなります。

雑な言い方となりますが、原著論文を書くまでは進められていない研究をまとめたもの、といったかたちです。

次に「研究資料」という種類があります。

こちらは論文やノートとまではいかないものの、実験などのデータをまとめたものであり、研究の目的などは重視されない論文となります。原著論文や研究ノートよりも短いものが多い印象です。

そのほか、その分野の最新の知見を伝える「レター」や、学会発表の際に作成する「抄録」など、様々な種類がありますが、大きくは上記の3種類が主なものになるかと思います。

このような論文の種類を抑えたうえで、自分に書けそうな種類の論文で構いませんので、1本でも論文を書いておくことをお勧めします。

大学教員は基本的に論文の質と量で実績が判断されますので、論文があるのとないのとでは大きな違いとなります。

先述しましたが、論文を書くと聞くとかなり身構えてしまうかもしれません

。ただ、教員である方々は日々授業研究を行っているはずです。

そのため、授業で実践したことを「実践研究」として、文字に起こせばそれは立派な論文となります。


実際、「教科教育」という研究分野においては、この実践研究が非常に重要な知見となります。

そのため、研究授業や公開研究会など、他の人に見てもらう授業はもちろん、日々の授業でも、実証した内容を論文として残しておくことをお勧めします。

※論文の書き方については学ぶ必要があるかもしれません。

②学会発表

論文と同じく「学会」と聞くと堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、こちらも研究発表会のようなものと考えてもらえたら良いかと思います。

実際のところ、公開研究会などは一種の学会発表のようなものだと個人的には思っています。

学会で発表したという事実は研究者にとっては重要な実績となります。

そのため、大学教員を目指される方にとっても、学会発表はしておいて損はありません。


学会発表は論文執筆と違い、必ずしも文章で書かないといけないというわけではないため、パワーポイントなどを使って研究内容をまとめて発表することも多々あります。そのため、人によっては実績作りのハードルが論文執筆よりも下がるかもしれません。

学会発表を行うためには、まず、学会に所属する必要があります。

多くの学会では、入会費と年会費を支払う必要がありますが、毎年学術誌が発行されており、最新の知見を知ることができるため、自分の勉強の場ともなります。

自分が研究している科目の教科教育学会(例えば、国語を主に研究したいと思っているのであれば、国語科教育学会など)を探し、所属してみることが第一歩になるかと思います。

③大学院進学

実務家教員の場合、修士号や博士号よりも現場経験の方が重視されるのですが、やはり、大学教員となるためには修士以上の学位を持っていて損はありません。

時間とお金が許すのであれば、最低でも修士課程へと進学し、修士号を取得しておくと、大学教員になれる可能性はぐっと高くなるでしょう。

かなり雑ではあるのですが、今回は中堅からベテランの小学校教員の方が大学教員になる方法についてお話ししました。

別の記事では若手の小学校教員が大学教員になる方法についても解説したいと思いますので、よかったらご覧ください。

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