今回は小学校教員と大学教員の違いについて書いていきたいと思います。
どちらも教員ではありますが、本質的に違うこと、業務内容的に違うことなどがありますので、よかったらご参考にどうぞ。
教科書を「つかう人」と「つくる人」
これは小学校教員と大学教員の本質的な違いとなります。
小学校では基本的に教科書に基づいて授業が進んでいきます。
そして、教員は教科書の内容をできるだけわかりやすく教えることが重要となります。そのため、小学校教員は教科書を「つかう人」といえます。
一方、大学教員は授業も行うのですが「研究者」という側面も併せ持っています。
研究とは、未知の物事を明らかにすることを意味しますので、新たな知見を見つけ出すことを指します。
そのため、教科書に載るような情報(研究結果)を提供する側、つまり、教科書を「つくる人」といえます。
近年は大学の教員にも教育力や授業力が求められていますので、一概には言えないのですが、授業の進め方やわかりやすさに関しては、小学校の先生方のほうが100倍上手だと感じます。それは、上記のような職業の側面の違いがあるのかもしれません。
(それにしても、大学教員も授業の進め方については勉強をした方が良いと思います。)
「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」
小学校の教員は基本的に全教科を教えることを前提に免許が出されています。
そのため、専科の先生や、高学年の担任の先生などは全教科を持たないかもしれませんが、基本的には幅広く知識、技能を修得させることが重要となります。
つまり、「ジェネラリスト」といえます。
一方、大学教員はもちろん、中学校、高校の教員は自分の専門とする科目を授業で教えます。大学教員は中・高の先生方よりもさらに狭い分野を専門としています。
そのため、「スペシャリスト」といえます。
中・高の教員のほうが大学教員の授業形態と似た環境にいますので、小学校教員と大学教員が最も対極にいるのかもしれません。
ただ、私を含め、大学教員を見ていると、胸の内のどこかしらに突き詰めたい専門をもっていることが大半のように思います。
免許の必要性
小学校教員は基本的に専門学校、短大、4年制大学を卒業し、小学校2種免許状または1種免許状を取得する必要があります。
大学院に進学した場合は、専修免許状までグレードアップすることができます。
そのため、臨時採用教員に出される臨時免許状(3年の有効期限)を含め、「免許」がないと教員とはなれない仕組みとなっています。
大学教員に関しては、免許というものはありません。
そのため、なろうと思えば誰でもなることができます。
ただ、多くの場合は大学院修士課程を修了していることが求められたり、分野によっては資格が必要になったりします。
大学教員に関しては、免許が必要ない分、採用側がどのような人材を求めているのかで公募内容が全く異なります。
そのため、大学教員の採用には求められている人材に自分が当てはまるという「運」が必要になるとも言われています。
採用人数
最近は小学校教員も採用試験の合格倍率が2倍程度の県が増えてきましたが、10年前は地方を中心に10倍を超える県も珍しくはありませんでした。
それほど教員のなり手が減っていると言えます。
悲しい現実ではありますが、それでも、毎年数十名~数百名の新規採用教員が採用されます。
大学教員の場合、毎年採用が出るかというとそういうことではなく、教員の異動や退職があり、その教員のポストが空いた時だけ採用人事を起こすということになります。
そのため、いつ採用人事が起こるのかわからないのです。
ましてや、毎年同じポストの採用をするということはほぼありません。
大学教員の採用は基本的に書類審査と面接となりますので、小学校の採用のように、何かしらの試験があるということはないのですが、学校の数と必要となる教員数の違いから、大学教員になる道の方が狭き門なのかもしれません。
児童と学生
当たり前ではあるのですが、小学校教員と大学教員は授業を行う対象年齢が違います。
小学校教員は6歳~12歳までの「児童」を相手に授業を行います。
そのため、語弊があるかもしれませんが、「こども」を対象とした職業であると言えます。
一方、大学教員は18歳以上の「学生」を相手にします。
つまり、「大人」を相手にする職業だと言えます。
この違いは思いのほか大きく、言葉遣いや配慮の仕方など、目に見えないコミュニケーションの面でも違いが浮き彫りになります。
児童に対するハイ思慮が足りなかったり、はたまた、配慮のし過ぎで考える機会を奪ってしまったりと、発達段階に合わせた対応というのは小学校教員と大学教員とで大きく変える必要があります。
今回の記事はありきたりの内容となってしまいました。
ただ、自分も記事として書き出してみると、やはり小学校教員と大学教員には明確な違いがあるのだなと改めて認識できました。
小学校教員から大学教員を目指している方は、このような違いも理解しておく必要があるかもしれません。
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