今回は短大教員時代に行なっていた卒業生訪問についてお話しします。
卒業生訪問とは
その名の通り、卒業生の職場を訪れ、元気にやっているか話を聞いてくるという訪問です。
訪問自体はその年の3月に卒業した学生を対象に、4月から9月を目安に行われます。
どうしても訪問できなかった場合は10月以降にずれ込むこともありますが、基本的には9月までに終わらせるという形でした。
訪問に当たっては、基本的に卒業生本人に話を聞きますが、就職先の上司に話が聞ける場合は上司にも話を聞きます。
そして、どのような様子だったか、どのような評価を受けていたかなどを短大に帰ってから記録するというものでした。
短大という立ち位置が卒業生訪問をさせる
卒業生訪問の概要を示しましたが、正直、驚かれる方もいらっしゃるのではないかと思います。
一般的には卒業した後は各個人の人生となり、短大の関与するところではありません。
卒業生から相談などを受けることはありますが、それはあくまでも卒業生から動きがあって初めて対応することであり、短大側から積極的に働きかけるものではありません。
しかし、私の働いていた短大では、卒業生訪問という風習が残っていました。
他の短大にお勤めの先生がいらっしゃったら、他の短大でも行われているのか聞いてみたいです。
ただ、よくよく考えると、卒業生訪問が当たり前のように行われていた経緯は、なんとなくわからないでもないのです。
以前も短大に関する記事を書きましたが、短大には「地域活性化」という役割があります。
私の勤めていた短大は強く地域に根付いていたため、新入生も卒業生も基本的には地元の学生がほとんどでした。
そのため、就職先も地元での就職が95%を超えていました。
これが何を意味するのかというと、
(短大として)常に評価されている
ということを意識しなければならない、ということにつながるのです。
簡単に言うと、評判が強く影響をするということです。
全国から入学者がいる場合、就職先も多岐にわたりますので、たとえ卒業生が失敗を繰り返し、出身大学への悪い評判が流れたとしても、その大学がある地域まで評判が広がることは考えにくいです。
しかし、地域性が高い場合、「評判」や「噂」というのはすぐに人の間に浸透し、その大学の入学実績へと直結していきます。
小さいな村を想像してもらえたらわかりやすいかと思いますが、村人の評判というのはすぐに回り、その評判がよくないものであった場合、村八分という恐ろしいことが起こる可能性があるわけです。
例えが悪かったですが、地域性の高さは評判の影響力に比例すると個人的には考えています。
そのため、卒業後も迷惑をかけていないかどうか確認を行い、迷惑をかけていた場合にはサポートをして、少しでも就職先への迷惑を減らす必要があるのです。
今回は短大における卒業生訪問についてお話ししました。
個人的には、ただでさえパンパンの業務の中に卒業生の面倒まで見ないといけないのか、と信じられない気持ちで働いていましたが、改めて考えてみると、短大は良い評判を保たないといけないから、という結論にたどり着きました。
ただ、今も行われているかわかりませんが、私がもう一度同じ短大で働くとなった場合、まず真っ先に廃止を諫言するでしょう。
評判におびえることなく、卒業生の活躍を信じたいものです。
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