今回は特別な支援が必要な学生についての所感を書きたいと思います。
増加している特別な支援が必要な学生
近年、特別な支援が必要な学生の入学が増えてきました。
これは、指定校推薦やAO入試で多くの入学生を確保する、いわゆる「Fラン大学」に私が勤めているからかもしれないのですが、全国の大学では、特別な支援が必要な学生の受け入れ態勢を広げるよう文科省から指示が出ています。
例えば、教育実習に関しては、以下のような連絡が文科省から出されています。
「障がいのある学生の教育実習における合理的配慮に関する対応マニュアルと チェックリスト」について:文部科学省www.mext.go.jp
お読みいただけたらと思いますが、要するに、障がいの有無にかかわらず、教育実習の機会を平等に与えるよう、教職課程をもつ大学に出された連絡です。
この連絡について、賛否両論あるかと思いますが、私個人的には反対の意見をもっています。
免許を与えるという責任
なぜ、私が特別な配慮を必要とした教育実習に反対なのかというと、教員免許を与えるという責任があるからです。
今回のような障害や特別支援系の話になると、途端に障害をもたれる方に偏った意見を言うようになったり、人権が何たらとか言ったりする方がいますが、ぜひフラットに考えてもらいたいのです。
特別な配慮をして完了した教育実習と現場は全く違います。
配慮や周りの協力があって何とか完了して教育実習を終わらせた場合、そのサポートが現場に出たときに、同様に得られるという保証はありません。
なにより、言葉は悪いのですが、教えられる子ども達は教員の障害の有無など知ったことではありません。
子ども達は純粋がゆえに、時に残酷な言葉や行動を起こすことだってあります。
そのような場面に直面した時に、免許を与えた大学や教育委員会は責任がとれるのでしょうか。
もちろん、障がいをもっているのであれば、教育実習を最初から諦めろということではありません。
文科省の言うように、学ぶ権利は誰にだってありますので、挑戦するのは全く持って問題ありません。
ただ、特別な配慮をすることなく、他の学生とともに通常通りの教育実習を乗り越えるようにしたほうが良い、という考えです。
それができないのであれば、教育実習の単位は与えられない、という話です。
教育実習の単位を与えた=教員免許を与えるというわけでありませんが、教育実習を完了できるような学生であれば、他の単位も問題なく取得するでしょう。
100%ととは言えませんが、教育実習の単位を取得できれば、おおよそ免許は取得できます。
免許を出しても教員採用試験に受からない、とタカをくくっている方がいるかもしれませんが、教員免許を持っているだけで、非常勤講師や臨時的任用講師として働くことは可能です。
つまり、現場で出られるということです。
学生のことを考えるとはどういうことか
上記のことを踏まえ、学生のことを本当の意味で考えるということがどういうことなのか、という問題提起にしたいのです。
特別な配慮をして、何とか教育実習の単位を出した学生が、希望を持ち、現場に出たとして、上手く教員生活を送ることができるでしょうか。
障がいをもっていない方でも大変と言われる教員の仕事に耐えられるとは私は思えないのです。
そうではなく、その学生の適性を見極め、難しいことは難しい、無理なことは無理とはっきり言ってあげることのほうが、その学生にとって本当の意味で進路を考えるきっかけになると思うのです。
障がいの有無に限らず、人にはできることとできないことがあります。
それは、頑張ればどうこうなるという次元の問題ではありません。
小学校段階の子ども達であれば、努力の話をすることもできるでしょう。
しかし、18を超えた学生となると、現実を見極め、自分にとって最適な道は何なのか、ということを見つめる必要がある段階です。
そこに甘い言葉や一件優しいと感じる言葉は必要ないと思います。
免許や資格は誰でもかれでも出してよいものではない、と個人的には思っています。
今回は特別な支援が必要な学生についてお話ししました。
テーマが重いと思われるかもしれませんが、特別な支援が必要な学生が増えている昨今、いつかは直視しないといけないテーマでもあります。
この記事をご覧になった方々はどのようなご意見をお持ちなのか、ぜひお伺いしたいものです。
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