今回は非常勤講師についてお話ししたいと思います。
※最初にお伝えしておきますが、「非常勤講師」は必須業務ではないため、大学教員が皆、担当するものではありません。
非常勤講師としての採用
まず、簡単に非常勤講師について説明をしておくと、非常勤講師とは、その大学の「常勤」ではない、つまり専任ではない教員のことを指します。
そして、非常勤講師をされている方は主に2通りのパターンがあります。
①非常勤講師をいくつかの大学で掛け持ちし、専任教員としての所属がない場合
②数コマの授業を非常勤講師として担当しつつ、他大学に専任教員として所属している場合
大きくは上記の2つに分けられると思います。
割合としては②のほうが多いのではないかと思うのですが、若手の方は①のパターンで教歴をつけつつ、専任教員への公募を行っている方が多いのかなという印象です。
①の場合は生活が保障されていませんので、とにかく入れられる時間だけ非常勤講師としての授業コマを確保しなければなりません。そのため、これから説明する非常勤講師としての採用をどんどん勝ち取る必要があります。
②の場合は専任教員として雇用されていますので、毎月決まった給与が支払われます。そのため、言葉は悪いのですが、お小遣い稼ぎといった印象が強いです。
ちなみに、②の場合はたいていの場合、一定の制限がかかります。それは「本務に支障をきたさないこと」というものです。専任教員であるため、本務校の業務が優先となります。そのため、基本的には研究日などの授業がない日に非常勤講師を入れ、それも他の業務を圧迫しないことが条件となります。
さて、前置きが長くなりましたが、採用の方法について説明していきます。これも大きくは2通りあります。
①教員公募に応募する
②知り合いからの依頼
この2通りです。
①に関しては、これまでの記事でも紹介してきた「JREC-IN Portal 」というサイトを通じて情報を得ることが最も多いです。
常勤採用の場合と変わらず、非常勤としての採用を求めている場合もこちらのサイトで基本的には検索します。
常勤採用との違いは、やや採用のハードルが低いというところです。
常勤としての公募をかけている場合、履歴書、教育研究業績書、志望理由書、推薦書などの書類が必要となることが多いのですが、非常勤講師として公募をしている場合は、履歴書、教育研究業績書だけの提出で良い場合もあります。
多くの場合は2段階となっており、1次は書類審査、2次は面接審査となります。
常勤公募の場合は3段階審査のところも珍しくはありませんが、非常勤公募の場合はほぼ2段階です。
非常勤講師として採用する場合も、文科省に届け出をしなければならないため、テキトーな人を採用することはできません。きちんと公募している授業に対しての業績をもっている人でなければならないのです。
そのため、ややハードルは低くなると話しましたが、審査はきちんと行われます。
そして、②のパターンについてですが、このパターンは少ないと思いきや、そうでもありません。非常勤採用の中で、①のパターンとの比率を考えてみると①:②=4:6くらいなのではないかと個人的には思っています。
規模の大きな大学であればあるほど、採用も「JREC-IN Portal 」などを通じてきちんと行いますが、地方の短大や規模の小さな大学となると、知り合いを通じて採用する場合が非常に多いです。まず「誰か担当できる知り合いいない?」から始まります。
②のパターンでは、公募という手順を踏まないため、書類審査はもちろん、面接すらもないことがあります。
私が以前非常勤講師として勤務していた大学の場合だと、その大学の学科長が自ら私の勤務校に来てくださり、依頼をしてくださいました。
(これは私が優秀というわけではなく、その大学の近隣で当該授業を担当できるのが私しかいなかったため、私に話が回ってきたというだけです。)
事前にホームページで私の論文や業績などについてチェックしたうえでコンタクトされたとのことでしたが、その際は書類審査や面接はありませんでした。
そのため、必要書類をいくつか記入したら、新年度からよろしくね、というかたちでした。
①のように丁寧に公募を行い、採用を決定していくという手続きが本来のかたちだとは思いますが、小規模大学の場合、公募をかけたとしても、適任者が集まらない場合があるのです。そうなると授業が開講できず、免許や資格の取得に支障が出てくるというケースもあり得ます。
そのため、公募をかけつつも、教員のツテで適任者がいないかどうか同時並行で適任者を探すことがほとんどです。
どのような採用の形であれ、大学教員であれば非常勤講師をやって損はないかと思いますので、小学校教員の方で大学教員を目指されている方は、まずは非常勤講師の公募からチェックしてみると良いかもしれません。
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