大学教員の仕事「専門外の科目の勉強」

大学教員の仕事

今回は大学教員によくある専門外の科目の勉強についてお話をしていきたいと思います。

専門外の科目担当

大学教員は基本的に自分の専門に適した授業を担当することとなっていますが、多くの場合、専門外の科目も担当します。

若手の教員であればあるほど、その科目はどんどん増えていきます。

もしかすると、自分の専門だけを担当科目として持っている教員はほとんどいないのではないかと個人的には思っています。

日本でいえば、東京大学や京都大学、早稲田大学や慶応大学などの旧帝大または大規模私立大であれば、自分の科目だけを担当することも可能かもしれませんが、規模が小さくなればなるほど、専門外の科目の担当が増えていくと考えられます。

理由は簡単で、少しでも人件費を浮かすためであり、一人の教員ができるだけ多くの科目を担当できれば、それに越したことはないからです。

そもそも、専門外の科目を担当することは可能なのでしょうか。

不可能であればよかったのですが、残念ながら可能なのです。

私も完全に理解しているわけではありませんが、基本的に教員審査と呼ばれる科目適合性が問われる審査は、「設置審査」と「教職課程認定」の二つだと思っています。

「設置審査」とは、その名の通り、大学を設置する際や学部、学科を新設するときに必要な審査であり、大学の中では最も厳しい審査といえます。

そのため、教員公募などにも「設置に関わる教員審査を受けたことがある場合、その旨を記載すること」などといった注意事項などがあり、この審査を経ている教員は紛れもなく「大学教員」として名乗ることができます。

「教職課程認定」とは、教員免許を発行する課程をもっている大学に課せられる審査であり、一つでも免許取得が可能な課程を持っていれば、免許を発行している学部、学科に対して審査が行われます。

基本的には10年に1度の感覚で審査が行われ、その都度、担当科目の適合性が審査されます(2度目以降の審査は再課程認定と呼ばれます)。

設置審査程は厳しくないかもしれませんが、教職課程に関わる科目において、明らかに業績が足りていない場合、その科目の担当が不可となることもあるため、再課程認定の2年ほど前から準備を行っている大学がほとんどです。

大学が独自に設定する科目

上記のような審査を経て科目を担当している場合は疑いようはないのですが、大学には「大学が独自に設定する科目」という科目があるのです。

そして、この「大学が独自に設定する科目」は、教職課程などに関係していない場合、誰でも担当することができます。

そのため、その大学に来て間もない教員や、若手教員に「誰でも担当可能な科目」が割り当てられることがあり、その場合、自分の専門とは全く異なる内容の授業を担当しなければならなくなるのです。

専門外の科目とはいえ、担当することになれば、学生に下手なことは教えられません。

間違った知識などを教えようものなら、授業評価アンケートなどから批判の嵐を食らいます。

資格試験に関わる科目であれば大変なことです。

そのため、0から勉強をし直して、学生に教えなければならない場合があるのです。

ほとんどの教員は必死で勉強し、プロとして授業を行いますので、学生から見るとその道のエキスパートに感じるかもしれませんが、全くそうではありません。

いかにも内容を知っているように見えて、必死で勉強しているのです。

「専門外のことを教えるな」と言われてしまえば、まさにその通りなのですが、大学では専門外の科目を教えることが往々にしてあるのです。

専門外の科目を担当するメリット

教員にしてみれば、なぜ自分が専門外のことを教えなければならないのか、という気持ちになるのはよくわかるのですが、それが自分の幅を広げてくれることもあります。

実際、私も専門外の担当科目をもっていたことで、採用に有利に働いたこともあります。

具体的には、「この科目に加えて、この科目も担当できるのか」、といったように、担当できる科目が多いに越したことはないのです。

また、純粋に知識が増えるため、専門科目も新たな視点で見つめなおすことができ、これまでとは違った発想が浮かぶこともあります。

大変ではありますが、与えられた仕事を遮二無二頑張るということは、あながち無駄なことではないように思えます。

学び直しをする女性

今回は大学教員にはよくある専門外の担当科目についてお話ししました。

いつか大規模大学で自分の専門だけを担当するのが私の夢です。

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