今回は大学教員の夏休み、冬休みにいてお話ししたいと思います。
長期休暇は暇なのか?
よく、学生に「先生たちって夏休み何してるんですか?」とか、「夏休みは先生たち授業ないから楽そう」といった質問、意見を受けることがあります。
教員という職業に就いている方ならお分かりかと思いますが、これは正直、
「人による」
というのが答えになるかと思います。
暇な人は暇だし、忙しい人は忙しい。
ただ、授業期間に比べると比較的ゆったりとできるのは間違いないかと思います。
以下、長期休暇を利用して行われることについて書いてみたいと思います。
①学会への参加
夏休みを利用して行われることの一つに、学会への参加があります。
自分自身が発表することもあれば、純粋に参加者として参加することもあります。
学会発表はその多くが夏休み、春休みに組まれることが多く、中にはゴールデンウィークなどに開催される場合もありますが、基本的には大学の長期休暇に合わせて開催されるものが多くなっています。
要旨や抄録といったものは事前に提出が求められるため、発表の数か月前から準備に取り掛かることが多いのですが、発表そのものの準備は夏休みや春休みに行うことが一般的かと思います。
そのため、長期休暇の一部は学会発表の準備に充てられることがあります。
②ゼミ合宿
3年生以上になると研究室別に「ゼミ」という集団に属します。
最近は1年生からゼミに所属することもあるようですが、卒論を書き上げるためのゼミは2年の後期から3年生頃に配属されることが多いかと思います。
そのゼミにおいて、長期休暇を活用した合宿を行うことがあります。
具体的には、調査のために遠方の目的地に行ったり、遠方に行かないまでも、寝食を共にしながら専門に関する内容について議論を行ったりします。
海外に行くこともあるため、まとまった時間が必要となることが多く、この合宿は長期休暇を利用して行われることが多くなっています。(自由時間はバカンスになりますので、調査とどちらが本当の目的だったかわからなくなる時もあります。ゼミ合宿はそれも一興です。)
ただ、教員目線でゼミ合宿を考えると、大学側に提出する書類や手続きが非常に面倒であるため、私個人としては、あまり合宿は行わない派です。
ちなみに、旅費は学生個人が負担するのが基本ですが、教員が一部を負担してあげることもあります。(近場ならまだしも、海外など金のない私には無理です。)
③講演・研修会
これは本当に人それぞれですが、長期休暇を利用して講演や研修会へと参加する方もいます。
参加者としてではなく、講師としての参加です。
講演などは年中行われているのですが、小・中・高校の研修などに講師として呼ばれることもあり、そのような場合は長期休暇中に呼ばれることが多くなります。
そのため、必然的に長期休暇中は講演や研修会の講師といった依頼が増えます。
これは専門分野によって、講演や研修会における需要が多い分野、少ない分野がありますので何とも言えないところではありますが、引き受ける割合が増えるのは長期休暇中ではないかな、といった印象です。
④授業準備
これも人によりますが、次の期の授業準備も行います。
毎年使いまわしのできる資料であれば準備の必要性はないかもしれませんが、統計資料などは毎年変わるため、毎回チェックが必要です。
また、大学は全学的にみると教員の入れ替わりがほぼ100%あるため、自分の担当科目にも変更がある可能性があります。
新しく担当する科目が増えた場合には、その準備なども必要となります。
長く同じ大学にいる方はそれほど苦労はしないかもしれませんが、異動された方、新しく大学教員となった方は、長期休暇を利用してまとまった授業準備の時間が必要になることがあります。
⑤研究及び論文の執筆
大学教員になぜ長期休暇があるのかというと、研究の時間に使うためのまとまった時間が必要だからです(と私は思っています)。
そのため、長期休暇を利用して、研究を進めたり、論文の執筆を進めることがあります。
もちろん、長期休暇でなくとも進めなければならないのですが、比較的進めやすい時期であるため、私はデータの収集などを長期休暇を利用して行うことが多いです。
ただ、これも教員の熱意によりますので、研究を全く行わない人や論文を全く書かない人にとっては、ゆったりとした時間になるかもしれません。
※実習巡回
これは教職課程(教員免許を出している課程)に所属している教員に限りますが、夏休みを中心に学外実習が組まれることがあります。
その際、教員が巡回指導に向かう必要がありますので、巡回指導に時間を割く必要性がでてきます。
全ての教員が該当することはありませんが、このように、学部や学科特有の仕事が入ってくることがあります。
以上、長期休暇を利用して行っている仕事を簡単に挙げてみました。
細かく見れば上記以外にもたくさん仕事の種類はありますが、概ね共通する項目についてあげてみました。
確かにゆったりと時間が流れるため、旅行などに行くこともあるのですが、教員に「仕事がなくなることはない」ため、何かしらの仕事をしている感じです。
暇な時間もあるので、「長期休暇は暇じゃない」という見栄は張れませんが、ぼちぼち仕事をしていると思っていただけたらと思います。
(忙しくしている先生方には謝罪いたします。)
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