大学教員の仕事「レポート評価」

大学教員の仕事

今回は大学におけるレポート評価についてお話ししたいと思います。

レポートにおける勘違い

レポート課題を出したときに、多くの学生に見られる内容として、「授業のメモ」というものがあります。

そのままの意味であり、授業中に説明された内容をメモのように書き連ねるだけのレポートです。

高校までの授業であれば、きちんと字数を守って授業内容をきれいにまとめていれば満点でしょう。

ただ、大学においては最低ランクの評価です。

少なくとも私がレポート課題を評価する時にはそのようにしています。

もちろん、提出遅延や、規程の字数に達していないなど、そもそも提出以前の問題がある場合を除きますが、内容を評価する、という場合においては加点していません。

私の個人的な意見も入ってくるかとは思うのですが、大学におけるレポートというのは、授業内容を踏まえながら、

「自分の考えや疑問」

を書くものであると考えています。

そもそも、授業時間が90分ある大学の授業においては、単純計算で高校までの授業よりも情報量が2倍近くあることとなり、授業内容をまとめるだけでも膨大な量となります。

聞いたことを書き連ねることが得意な人は良いのかもしれませんが、授業内容を書くだけでも大変です。

それにもかかわらず、授業内容を機械のように写し、量だけでごり押ししてこようとする学生がいます。

また、真面目に段落を変えながら、見やすいようにとてもきれいにまとめたレポートを提出してくる学生もいます。

残念ですが、どちらも最低ランクを付けています。

どれだけきれいに書かれても、まとめているだけであれば内容としての評価を変えるわけにはいかないのです。

むしろ、きれいに書かれているから加点してあげる、なんてことを行ってしまったら、「書き方」に加点していることとなり、授業の本質からずれた評価となってしまいます。

評価者は結構すぐにわかる

鬼のように思われるかもしれませんが、きちんと授業の初回にレポートについては説明をして、このように書けば加点があります、私が知りたいのはあなた方の考えです、ということを伝えています。

そして、百人以上を対象にレポートを課して、定期的にそれを評価しているのですが、評価者はそのレポートが書き写しただけなのか、自分の考えが書いてあるのか、はたまた、自分の書いた考えが書いてある部分はどこなのか、ということを結構すぐに見つけることができます。

これは私が特殊な能力をその得ているわけではなく、じぶんの教えている授業内を把握していれば、その内容だけを書いているのか、その内容を基に自分の考えを書いているのか、ということがすぐにわかるというだけです。

そのため、500字程度のレポートであれば、百人を超えていようが、1時間~2時間程度で評価が完了します。
(保身のために書いておきますが、レポートに書かれた疑問にもきちんと答えています。)

レポート課題でなにを求められているのかを把握する

レポートの種類によっては、調査結果をまとめる、これまでの経験をまとめる、といった内容のものもあるかと思いますが、基本的には、提出者の考えや疑問を書いて減点になることはないかと思います。

ほとんどの教員は、授業内容をまとめることなどは求めていません。

提出者が授業内容を受けて、何を考えたのか、疑問に思ったのか、ということが知りたいのです。

考えや疑問が書いてあるレポートを見るのは楽しく、評価する時間もあっという間に過ぎるのですが、同じような内容が書かれたレポートを見ていると、感情がなくなり、こちらも機械的に評価をつけるだけのマシーンと化してきます。

便箋と鉛筆

今回はレポートの評価について話をしました。

入学したての初年次教育においてレポートの書き方については学ぶ大学が多いと思うのですが、3~4年生になっても書き方がずっと変わらない人がいます。

それほど、評価に関心がないのかもしれませんが、せっかく書くのであれば、思考力を鍛える書き方をしてほしいものです。

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