大学教員の仕事「国公立と私立の違い」

大学教員の仕事

今回は大学教員の仕事について、国公立と私立の違いについてお話しします。

国公立と私立の違い

国公立と私立で働く教員においては、同じ仕事でもその重さや大きさが変わってくることがあります。

そこで、よく言われる国公立と私立の大学教員の仕事の違いについてみていきたいと思います。

1.授業数

まずは、大学教員の主な仕事となる授業数についてです。

1回(90分~100分)の授業を1コマとカウントし、1週間の中に何コマあるかという部分を見ます。

そして、前期、後期を合わせた年間何コマ担当しているのか、ということが忙しさの基準としてよく用いられます。

私の感覚的には

国公立:年間7~8コマ
私立:年間12~14コマ

といったのが平均ではないかなと感じています。

もちろん、大学の規模や学部、学科によって全く違うため、参考程度にしてください。

なぜ私立の教員のほうが持ちコマ数が増えるのかというと、純粋に定員が多いからです。これに尽きます。

担当するゼミ生の数も国公立であれば多くて1学年7人程度のところ、私立では学年20人などという大学もあります。

また、少し特殊ではありますが、保育士などの資格を出す保育者養成施設などにおいては、演習科目は50名を超える場合、2クラスに分けて授業を行わなければならないため、このような縛りがあると、同じ授業を2回行わなければなりません。

そのため、1つの科目でも2コマカウントされる授業が出てくるのです。

このような実情から、一般的には私立のほうが持ちコマ数が多いとされています。

ちなみに、レッドラインとされる持ちコマ数はだいたい年間20コマです。

18コマ以上でもかなりの忙しさかと思いますが、20コマを超えてくると、私生活を犠牲にしなければ、長期休暇以外で研究の時間を取ることが難しいと考えられます。

授業数は大学教員生活を左右する大きな要因ですので、公募の際などに参考にしてもらえると良いかと思います。

2.高校訪問

以前も記事を書いていますので、よかったらご覧ください。

https://note.com/embed/notes/n8be0c350aa56

高校訪問は、国公立の大学には基本的にありません。

なぜかというと、そのようなことをしなくても定員が確保できるからです。

しかし、私立大学に関してはそうはいきません。

大学の規模にもよりますが、小さな大学であれば、教員が出前授業を含めた高校生向けの説明会に駆り出されることは珍しくありません。

高校訪問は、訪問する高校の数にもよりますが、出張となるため確実に時間を取られます。

可能であれば避けたい業務の一つです。

3.昇進

昇進に関しては、国公立より私立のほうが早い印象があります。

その理由としては、国公立は学部、学科によって教授数、准教授数というものが決まっており、その数を超えての昇進というのは基本的に行われないからです。

どういうことかというと、ある学科の構成員が5名だとして、教授2名、准教授2名、講師1名だったとしましょう。

その学科に割り振られている教授数は2名ですので、この教授2名が異動、または退職をするなどして枠に空きが出ない限り、准教授は教授となることはできないのです。

また、年功序列が適用される場合もあるため、どれだけ優秀な若手教員だとしても、若いという理由で他の人に昇進の枠を譲ることもあるのです。

なぜ、このような枠が決まっているのかというと、人件費がかかるからです。

昇進をして、肩書が変われば、一気に給与が上がることはありませんが、その伸び幅は確実に大きくなります。

そうすると、大学は多くの給与を払う必要があるわけです。

法人化されたとはいえ、自由に動かせる資金が潤沢にあるとは言い難い状況と言えます。

一方、私立も国からの補助金等をもらってはいますが、複数の系列校や他の事業などを自由に展開できることから、自由に動かせるお金が国公立よりも多いのは事実です。

そのため、自分たちの責任の下に、枠などを決めずに昇進させることができるわけです。

このような状況から、私立では規定の年数が経過し、一定の業績を持ち合わせている教員であれば、基本的に全員昇進させることができます。

長くなりましたが、まとめると

国公立:昇進枠によっては、昇進が遅れる(特に准教授から教授)
私立:勤務年数、業績を持ち合わせていれば基本的に昇進

といった形です。

ただ、何度もお伝えしていますが、大学の規模と私立は経営状況にもよりますので、参考程度にお考え下さい。

4.入試業務

入試に関しても国公立と私立は異なります。

国立は基本的に1次試験(大学共通テスト)を受けた後、2次試験を受けて総合得点で判断されます。

総合型選抜や推薦型入試もありますが、その割合はかなり低くなっています。

一方、私立大学では1次試験(大学共通テスト)を受ける必要がなく、総合型選抜や指定校推薦における推薦入試が中心となる大学があります。

上記の違いから何が異なってくるのかというと、試験の回数です。

国公立大学の入試は共通テストと2次試験、そして数回程度の総合型選抜、推薦、編入試験といった感じでしょう。

私立大学においては、総合型選抜や推薦入試が中心となりますので、それぞれ一人の教員が複数回(私の大学では5回程度)担当します。

それに加えて、共通テスト、編入試験、2次試験といった形となります。

ただ、私立大学の中でも偏差値が高いとされる上位大学においては、国公立よりの入試形態をとっている大学もあります。

規模が小さくなればなるほど指定校推薦などが増えるため、その分、入試に駆り出される回数が増えます。

参考程度にどうぞ。

私立と国立と書かれた紙と電卓

今回は4つだけですが、国公立大学と私立大学教員の仕事の違いについてお話ししました。

他にもまだまだ違いはあるのですが、意外と長くなってしまったため、本記事では4つの紹介としたいと思います。

大学行員公募を検討されている方など、参考にどうぞ。

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