今回は大学に存在する3つの人種についてお話ししようと思います。
もしかしたら、過去にも同様の記事を書いてしまっているかもしれませんが悪しからず。
①研究没頭人
まず一つ目の人種は研究に傾倒する「研究没頭人」です。
その名の通り、研究に全ての力を注ぎますので、業績が大量に蓄積されており、外部資金もガンガン取得してきます。
大学教員の主な仕事は研究と教育ですので、最も大学教員らしい人種と言えるかもしれません。
大学としても、顕著な研究成果を挙げる人というのは、外部向けの宣伝になったり、外部資金獲得時に間接経費を入れてくれたりする存在となりますので、手放したくない人材と言えるでしょう。
ただ、問題としては、研究に傾倒するがゆえに、授業や学内業務が疎かになる人もいるということです。
研究に没頭しても問題がない大学というのは、国内でも少数の大規模大学だけであり、大半の大学では他の業務にも力を入れる必要があるため、大学としては確かに貢献してくれるのですが、同僚としては不満が残るかもしれません。
実際に、研究に傾注するため、学内委員会を何度も欠席する教員などもおり、役職者には確実に就くことができない人種がいるのも事実です。
しかし、強力な業績を残すことができれば、大規模大学へと移ることもでき、研究に没頭できる環境が得られる可能性もありますので、大学人として生き残るためには、研究に傾倒するのも一つの方法と言えるでしょう。
②出張メディアマン
二つ目の人種は「出張メディアマン」です。
メディアへの露出が多く、名前の良く知られた、いわゆる「有名人」である教員です。
学識者としてメディアに呼ばれるということは、それなりに専門知識を持っておかなければいけないため、①の研究没頭人とも重なる部分がありますが、大きな違いは、「論文や学会発表を行わない」ということです。
そのため、研究成果を積み上げるというよりは、メディアに出演したことを「社会貢献」として業績にしていくといったスタイルとなります。
この人種は、研究業績でメディアに呼ばれ始めることもありますが、そもそもメディア関係者とツテがあり、そこから頻繁に呼ばれ始め、露出が増えていくごとに、さらに次の露出へとつながっていくという循環があります。
基本的にメディアへの出演も含めて、学内業務が優先されるのですが、メディアへの出演が重なってくると、大学も大学名を売るチャンスではありますので、出張として認めてくる場合があります。
そして、出張がどんどん増えていくうちに、学内業務を担当することがなり、授業とメディア出演を主とする大学教員が出来上がるわけです。
メディアというのはテレビだけでなく、雑誌やラジオ、今ではYouTubeなどへの出演もあります。
メディアに露出するということは、それだけ人の目に触れる機会が増えるということですので、オープンキャンパスや入試などの学生募集にもつながり、入学者増加につながる可能性があります。
あのテレビに出ている先生がいる大学に行きたい、と思う高校生は思いのほか多いのです。
このように、大学名をあらゆるメディアで宣伝してくれるため、授業がどれだけ下手糞でも、学内業務をどれだけ欠席したとしても、大学としては貴重なネームバリューをもった教員として置いておきたくなるということになります。
つまり、生き残れる人種の一つとなるわけです。
ただ、お察しの通り、出張が多く、学内業務や授業を休講にすることもあるため、学内からは反感を買うかもしれません。
③学内政治家
最後に照会する人種は「学内政治家」です。
学内政治家は、研究業績で秀でているわけでも、メディアに露出するほどのネームバリューを持ち合わせているわけでもありません。
ただただ、学内業務を遂行することに秀でているのです。
学内業務とは、いわゆる委員会活動であり、大学を運営する上では欠かすことのできない業務となります。
大学には学生委員会や教務員会、入試委員会、広報委員会、IR推進委員会、地域連携委員会など、様々な委員会があり、教員は基本的に複数の委員会に所属する必要があります。
委員会を進めるためには人をまとまるリーダーシップを持ち合わせている必要があり、教員はもちろんのこと、事務方ともコミュニケーションをとりながら業務を進めなければなりません。
大学教員としては物足りない業績や、いたって普通の授業をしている教員だとしても、学内業務に強力な力を発揮する教員であれば、大学運営には欠かせない戦力となります。
これまでに紹介した2つの人種は、有名になったり、研究所の所長などの役職は就いたりするかもしれませんが、大学内における役職に就くことは難しく、学部長や学長になる人というのは、この「学内政治家」が最も多いと言えます。
小さな大学では、政治力はそれほど必要ないかもしれませんが、大規模な大学では、学長選考などの前に、政治家のような挨拶周りが行われることも珍しくありません。
一人でも票を入れてもらうため、選挙対策を行うわけです。
ただ、研究業績や世の中の知名度では劣ることがあるため、大学を移る際のインパクトとしては弱く、学内で上り詰めるための道と言えるかもしれません。
今回は、大学で生き残るための3つの人種についてお話ししてみました。
全ての教員が上の3つの人種にしっかりと当てはまるわけではなく、研究も知名度も学内業務もきちんとこなされている先生もたくさんいます。
どの人種として生き残っていくにしても、最後に必要となるのは「人格」であり、人として慕われていなければ、どの人種でも上に上り詰めるのは難しいのかもしれません。
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