今回は大学教員の仕事の一つである実習巡回について続編を書きたいと思います。
以前の記事をご覧になっていない方は、以下からどうぞご覧ください。
前回は実習巡回の内容についてお話ししたのですが、今回は巡回する学校数や巡回に伴うスケジュール調整などについてお話ししていきたいと思います。
巡回する学校数(園数)
前回の記事でもお話ししていますが、実習巡回というのは大学教員の必須業務ではありません。
保育者養成課程において、保育士資格を授与する大学、または、教員養成課程において教員免許を授与する大学において発生する業務となります。
ただ、私を含めて小学校教員から大学教員となられた方は、基本的には教員養成課程に所属することが多いのかなと思いますので、実習巡回も行う可能性が高くなります。
さて、巡回を行う学校数や園数についてですが、これは本当に様々です。
大学や学部、学科によってもがらりと変わりますので、おおよそ何か所くらい巡回します、というのは言えないのですが、巡回数が決まっていく要因というのはある程度決まっていますので、その要因についてお話ししていきます。
①学部・学科定員
まず、当たり前ですが、学部や学科定員によって巡回数が変わってきます。定員が多い学科であれば、その分巡回数も多くなり、定員が少ない学科であれば、巡回数も少なくなります。
②教員数
①と連動しますが、学科に所属している教員数によっても巡回数は変わります。定員が100名に対して教員が10名だと仮定して、単純に均等に割ると一人当たり10か所の巡回が必要となります。
教員数が少なければ少ないほど巡回数は増加し、教員数が多ければ巡回数は少なくなります。
③科目担当の有無
上記2つはわかりきったことなのですが、この科目担当の有無に関しては、あまり知られていないかもしれません。
実習も一つの科目として単位を出しますので、保育実習や教育実習には科目担当者がいます。
そして、場合によっては、科目担当者が巡回箇所を多く担当するということがあります。
ここが大学や学科によって大きく変わるところではありますが、学科内で均等に担当箇所を分ける場合もあれば、実習担当者の担当割合を増やし、その他の教員は少し巡回数が少なくなる、というった場合もあります。
ここは大学内に入ってみないとわからないことですので、公募の段階では見えない部分ではありますが、実習担当をする可能性がある、という方にとっては仕事量が大きく変わってきますので、重要な部分となるでしょう。
④巡回の場所
最後は、巡回の場所についてです。巡回箇所を均等に分けたとしても、近い、遠いという立地の問題は避けられません。
特に、大学が設置されている県内であればまだ良いのですが、教育実習などは地元に帰って行うことが多いため、県外に巡回へと行くこともあります。
私も四国の短大にいた際に、沖縄まで巡回指導に行ったことがありますが、もちろんのこと、その日は1園しか回れません。
そのため、その時は少し他の巡回箇所を減らしてもらった経験があります。
巡回時のスケジュール設定
巡回箇所が決定したら、いつ、その場所に行くかということを決める必要があります。
教育実習などの場合は研究授業に合わせていくことが多いため、その日程に合わせていくこととなるのですが、幼稚園や保育所に関しては、あまりそのようなことはありません。
ただ、実習の中日あたりを目安に行くことが多いため、早すぎず、遅すぎない巡回日程の設定が必要となります。
そして、この際にも巡回数が影響してくるのですが、巡回箇所が多ければ、その分巡回日程も長くとらなければなりません。
しかし、先ほどもお話しした通り、早すぎず、遅すぎない日程で巡回することが望ましいのです。
そうなると、巡回する日は授業を休講にしなければならない場合が出てきます。
もちろん、巡回数にもよりますが、10か所を超えてくると、どこかしらの授業を休講にしないとなかなか回りきるのは難しいです。
しかも、こちらの都合が必ずしも通るということではなく、学校や園側の都合とすり合わせなければなりませんので、このスケジュール調整は毎回のことながら困難を極めます。
巡回指導という業務は、このような内容を含めて進んでいくのです。
今回は巡回指導について続編を書いてみました。
大学に教職課程センターや実習センターなどの組織があり、その職員が実習巡回を手伝ってくれることもあります。
その場合は、そのセンターの職員が実習指導が可能な雇用形態で採用されている必要がありますが、そうなると非常にありがたいです。
純粋に巡回箇所が減るうえに、学生対応も分担して行ってくれます。
大きな大学はそのような組織が整っていることがほとんどですので、そういう点では、大規模大学の教員は羨ましいなあ、と感じる今日この頃です。
もし、実習巡回という業務を行うことがあれば、共感していただけると幸いです。
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