大学教員の仕事「試験監督」

大学教員の仕事

今回は大学での試験監督についてお話ししようと思います。

共通テスト

大学が関わるテストの中で最も有名なのは「共通テスト」でしょう。

少し前までは「センター試験」、その前は「共通一次」といわれていたテストです。

ご存じかとは思いますが、共通テストは大学入試の1次試験のようなもので、特に国公立を目指している生徒にとっては大変重要であり、天国と地獄の分かれ目のようなテストになります。

この共通テストですが、全国で同日、同時刻に同じ試験内容で行われるため、受験者も大変ですが、試験会場の運営も大変です。

何か問題が起ころうものなら、門の前で待ち構えているマスコミの餌食となってしまい、翌日のニュースに大きく取り上げられます。

そのため、我々教員はもちろんのこと、大学職員等関係者は緊張した雰囲気の中、何事も起こらぬよう運営を行わねばなりません。

共通テストの試験官

この共通テストの試験監督ですが、基本的に大学教員がしなければならないこととなっています。

大学職員もフル動員されますが、基本的には試験室の外で待機しており、有事の際に対応することとなっています。

共通テストを経験された方はお分かりかと思いますが、共通テストでは事前に決められたセリフを一字一句間違えることなく読み上げなければなりません。

その他の不要な言葉を発してはいけないのです。

「ロボットみたいな人たちだなぁ」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、そのような規定となっているため、しゃべってはいけないというのが実際のところです。

そして、試験開始時間には1秒も遅れてはいけませんので、電波時計を見ながら、問題用紙、回答用紙、写真用シールなど、必要な資料を配っていきます。
(遅れる場合もありますが、その時は繰り下げて試験時間を確保します。)

共通テスト開始

資料を配り終え、いざ試験開始!!

受験生は必死に問題を読み、決められた時間の中で問題を解いていきます。

そのとき、我々教員は何をしているのかというと

「無」

です。

ただ、時の流れに身を任せ、時間が経つのをじっと待つしかありません。

時々、トイレに行きたい生徒や体調が悪くなった生徒などの対応をすることはありますが、受験生も受験生で万全の調子で試験に臨んできますので、本当に稀に申し出があるという感じです。

机間巡視をすることもありますが、受験生の気を散らしてはいけませんので、頻繁に行うことはなく、基本的にはじっと立って待っています。

怪しい受験生を見つけようと思ったこともありますが、近年、共通テストにおけるカンニングがニュースとなっており、そのような無謀なことにチャレンジしようとする生徒は皆無です。

できることといったら、呼吸と簡単なストレッチくらいでしょうか。

踵の上下運動くらいはできるかと思いますが、大きな動きは足音を立ててしまったり、偶然肩が部屋の電気スイッチに当たることなども考えられますので、ごく小さな動きしかできません。

あとは、生徒の鉛筆の持ち方を確認する、ぐらいでしょうか。

余談にはなりますが、大学教員になってから、小学校1年生で教えていた鉛筆の基本形を守って書いている人は未だかつて見たことがありません。

驚くほどに基本形から我流のもち方へと変わっています。

小学校1年生の担任をしていた時に、あれほど必死に教えていた持ち方も、大学生にもなると我流になってしまうのか、と少し寂しい気持ちになります。

話がずれましたが、共通テストの試験監督というのは、基本的に「無」の状態となり、時に身を任せることとなるのです。

他のテスト

共通テストは大学の中でも最も厳正なテストですので、非常に緊張した雰囲気のなかで行われますが、大学で行われる定期テストはそこまでの緊張感はありません。

ただ、定期テストではカンニングの可能性が出てくるため、大人数で受けるテストは要注意です。

人数に合わせて試験監督の人数も増えますが、それでも目が行き届かない場合がありますので気が抜けません。

また、少し前までは定期テスト中に自分の仕事を持ち込んで進めている先生もいらっしゃいましたが、最近は共通テストでのカンニングのニュースが大きく取り上げられたこともあり、ほとんどいなくなりました。

つまり、定期テストも基本的には「無」となります。

「無」の時間

このように、大学におけるテストの試験監督は「無」になる時間が非常に多いのです。

このようなことを書いたら他の大学教員の方からクレームがきそうですが、これが現実です。

もちろん、怠けているわけではなく、目を光らせて行っています。

ただ、有事でなければやることがないのも事実なのです。

そのため、私はこの時間を使って頭の中を整理するようにしています。

スケジュールを思い出し、「ああ、これを進めないといけないな」「これはまだ大丈夫だな」といったように、自分の仕事を整理します。

また、その時に行っている研究についてぐるぐると考えを巡らせることもあります。


本来、寝る前やお風呂場などで行うことが多いのですが、テストの試験監督がある場合は、その時間を活用しています。

まとまりませんが、今回は大学の試験監督の現状についてお話ししました。

もし、こういう時間の使い方があるよ、というご助言をいただける方は、ぜひコメントをください。

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