(かつての)大学教員の仕事「教員免許状更新講習」

大学教員の仕事

今回は令和4年7月1日に廃止された教員免許状更新講習についてお話ししたいと思います。

廃止された講習のことについてお話ししても仕方がありませんが、今だからお話しできる裏話もありますので、記事にしておきます。

講習の準備

まず、講習の準備は前年度から始まります。

各都道府県の教育委員会から各大学に講習の実施が可能かどうかの問い合わせがあります。その際に、「できます」と手を挙げたら、次年度の講習実施が決定します。

(問い合わせは毎年ありますが、事務方曰く、各大学で担当してほしいコマ数のようなものを提示されるらしく、「できません」というのは言いづらいそうです。)

講習の実施が決定したら、希望の実施日時、講習内容、講習場所、対象者などを決めていきます。

次年度のこととなりますので、日時などは決めづらいのですが、場所、対象者などはほとんど希望が通ります。

内容に関しては、評価の方法について指摘を受けたことがあります。講義だけなら良いのですが、実技が含まれる場合、どのようにして評価するのかをはっきり明示しておく必要がありました。

上記のことが決まったら、次年度の準備はほぼおしまいです。あとは講習の内容を作りこんでいきます。

講習の実施

講習は一人で担当することが多かったのですが、中には複数人で担当される方もいました。

講習時間はだいたい10時~16時の6時間となり、1時間程度の休憩を挟みます。

担当する講習の数が多い方は3日の集中講義のようなかたちでされていました。

そして、講習の手当てについてですが、各大学で定められている規定に基づいて支給されます。

私が担当していた時は、時給9000円でした。

包み隠さず言うと、大学教員にとっては良いアルバイトになっていたかと思います。私も実際のところ、この手当てに救われていた部分もあります。

受講者の先生方は受講料を自腹で支払って受講してきてくれますので、半ば申し訳ない気持ちもありましたが、助かっていたのは事実です。

ただ、言い訳がましくなりますが、やはり現役の先生方を対象としますので、普段の授業以上に気を張って講習は行っていました。

また、講習を受講される方々は若くても30歳以上であり、私よりも年上の方々でしたから、講習でお話しする内容を慎重に精選しました。

幸い、クレームがくることもなく、講習に対する評価も悪くない評価をいただけていましたので、最低限の内容は提供できていたのかなと感じています。

ここまで講習の流れを大学教員目線で簡単に説明してきましたが、私の個人的な立場としては、廃止されて良かったと思っています。

確かに、大学教員は良いアルバイトにはなるのですが、それに見合う授業準備は心身ともに負担がかかります。手を抜こうと思えば抜けるのかもしれませんが、そこまで現場の先生方は甘くありません。評価にしっかりと反映されるでしょう。

そして、この講習は最新の知識技能を修得するために行われていましたが、現場の先生方に必要なのはあくまで「教授法」であり、様々な知識技能を身につけたところで、活用できる幅は限られていると考えます。

知っているよりかは知っていた方が良いのかもしれませんが、基本的には学習指導要領に基づいて、教科書の内容をどれだけわかりやすく教えられるか、という点が教員に求められる基礎の力だと感じます。

そのため、講師、受講者ともにデメリットが大きく、非常に形骸化した講習だと感じていました。
(少なくとも私は手当よりも授業準備のほうが大変でした。)

廃止されて何より、というのが本音です。

裏話

さて、ここからは裏話となりますが、この更新講習を受講されるかたは、ほとんどの方が真面目に受講されます。

当然ですが、現役の教員の方々ですので、受講態度も何も言うことはありません。

私は小学校と幼稚園教諭を対象としていましたので、中学、高校の先生方には教えていないのですが、他の先生からのお話を聞く限り、小学校の先生が総じて受講態度が良かったようです。

事実としてお話しすると、中・高の体育の先生方が最もやる気がなかったと多数の先生からお話をお聞きしました。
(実技は1番やる気があったそうです。)

脱線しましたが、総じて皆さん真面目に受講されます。

ただ、中にはやる気のなさを前面に押し出したような方もいらっしゃいます。

それはそれで構わないのですが、問題は評価です。

今だから言えますが、更新講習は基本的に不可を出しません。

不可となった方がいらっしゃったら、ぜひコメントがほしいです。

ただ、その方はある意味正当な評価を受けていたということとなります。

私の受講者の中にも、何名かやる気の見られない方がおりました。

私の講習の評価は筆記テストとしており、60分のテストだったのですが、20分以降退出可能としていました。

そのテストで、20分ピッタリに退出した方がいました。

もちろん、規則を守っていますので、何ら問題はありません。

ただ、内容は伴っていませんでした。

記述式の回答欄はほとんど一行。質問の答えを簡潔に言い表していればいいのですが、内容も正解とは遠いものでした。

そのため、私は当然脱落となる「D」評価をつけました。

何の疑問もなく提出した評価表だったのですが、すぐに事務局から連絡があり、「これまでD評価がついた人はいないため、なんとか再考してまらえないか」という主旨の連絡でした。

聞くところによると、教育委員会への報告も、D評価があるとその理由も併せて添付する必要があり、手続きが増えるとのこと。

そんなこと知りません。

と思い抵抗したのですが、結局採点をし直すこととなりました。

一行しか書いてない回答から、加点できそうな部分を探していきました。

その人だけを見直すわけではないため、その人に合わせて全体の点数を底上げする必要があるわけです。

最後まで抵抗しなかった私も情けないのですが、基本的にパスさせるのであれば、試験を作る必要はないだろうと考えていました。

このような例は地方の小さな短大だからこその事例なのかもしれませんが、知り合いの先生方にお話を聞くと、確かにDは出したことがないとのことでした。

まあ、Dを出すとお互いに面倒なことになるのはわかるのですが、それではテキトーな人ほど楽に試験をクリアして、何のメリットもなく帰っていくこととなります。

自分の弱さと講習の形骸化を感じた瞬間でした。

長くなりましたが、教員免許状更新講習についてお話ししました。

教員は初任者研修をはじめ、定期的に研修を行なっていますので、これ以上の講習などは必要ないと思っています。


今後、現場の先生方が働きやすい環境になっていくことを願うばかりです。

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