今回は話題となっている教員採用試験の試験日程の前倒しについてお話ししたいと思います。
文科省の発表
既にニュースとなっていますが、ご存じない方がいらっしゃったら、以下の記事をご覧ください。
教員採用試験 来年度は6月16日を目安に前倒しへ 文科省 | NHK | 教育
簡単に要約すると、
・教員採用試験日程の前倒しを検討すること、年に複数回試験を行うことなどを各都道府県に求めた。
・その理由として、試験の早い民間企業に教員が流れてしまうから。
・課題としては、4年次の教育実習期間と重なってしまう可能性がある。そのため、3年次に実習を行わせるよう、大学に求める必要がある。
といった感じです。
危機的状況
おそらく、100人の人がこの記事を見たら、100人の方が異論を唱えるのではないでしょうか。
「おぉ、素晴らしい対策だ」という人は果たしているのでしょうか。
少なくとも、私には肯定派が話をしている状況が想像できません。
では、なぜそのような対策案が実施に向けて走り出してしまうのでしょうか。
お上には誰か異論を唱える人はいないのでしょうか。
おそらく、異論が出る、でないといった議論の前に、「教員が足りていない」という状況がよほど深刻なのでしょう。
どうする、しないという議論の次元ではなく、「何をしてでも教員を確保しなければならない」「教員を確保するためなら、どんなに小さなことでも行う」といった気概なのでしょう。
ただ、皆さんお分かりの通り、この対策はどう見ても本末転倒です。
教員の質の確保など度外視となっており、民間と教員とで迷っている学生の青田買いとしか映らない対策です。
また、大学教員としては、実習時期をずらすということを簡単に考えすぎだとも感じます。
教育実習に出る前に、短期的な実習、介護等体験などを組み込む必要があり、それらの日程を前倒しにしてしまうと、教育課程そのものを見直す必要性が出てきます。
このような対策を取らざるを得ない教育界は、まさに危機的状況でしょう。
金しかない
では、どうすればよいのか。
給与を上げるしかないと思います。
それも大幅に。
初任給手取り30万とかでもよいのではないでしょうか。
ごちゃごちゃ考えずに、これでいいと思うのです。
人が集まらないなら、労働に見合うだけの給与を支給するだけで、少なくとも労働環境に納得する人も出てくるかと思います。
また、給与が高いということで、採用試験を受ける人も増えるでしょう。
日程をずらすなどという小賢しい対策をとるのであれば、どのような手段であれ、人が増えるということに変わりはないはずです。
このような意見を言うと、「財源が」「お金がない」と言われるでしょう。
「異次元の少子化対策」も財源がないといわれており、対策が進まない一因になっていると聞きます。
本当にそうでしょうか?
削れる部分はたくさんあると思うのです。
というより、「教育」にお金をかけない国に未来はないと思うのです。
百歩譲って研究にお金をかけられなくとも、教育にかけるお金を渋っていては、誰がこの国を担っていくのでしょうか。
もしくは、昔のように、教員になれば奨学金の返還免除をする、全額とはいかなくとも、何割かの返還を免除するなどして、教員になることのメリットを作る必要があると思うのです。
ただ、これに関してもお金に関係することが望ましいでしょう。
異次元の教員確保
私が申し上げている対策は現実味がないと揶揄されるかもしれません。
ただ、現実的ではない異次元の教員確保策を講じなければ、教員確保において状況が好転することがないと思うのです。
今ある貯蓄を食いつぶすような対策ではなく、思い切った投資策が必要なのだと個人的には思います。
まあ、このようなプラットフォームに書き込むのは自由ですので、言いたいことを言わせてもらいましたが、現状は変わらないでしょう。
一人でもいいので、破天荒な官僚、政治家が現状を見つめなおし、異次元の教員確保策を講じてくれることを期待しています。
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