今回は指導案の廃止を提案したいと思います。
指導案とは
教員の方は聞きたくもないくらい聞いたことのあるワードだと思いますが、指導案をご存じない方のために簡単に説明しておくと、授業を進めるための計画案のようなものです。
授業を行う意図、板書、子ども達への質問、子ども達からの予想される回答、子ども達の動き、授業の流れ、などが書かれた計画案といえます。
この指導案というものは、教員の研修授業ではほぼ100%用いられており、学内研修、学外研修においても、研修などで授業をする際には指導案が必ず必要となります。
ただ、
「指導案っていりますか?」
私個人的には廃止して問題ないものと考えています。
その理由について以下に述べていきます。
①指導案作成にかかる負担が大きい
先にも後にもこれが最大の理由です。
厳密には、指導案には2種類の形があり「略案」と「細案」というものに分かれます。
「略案」というのは、その授業だけに関する計画を記載したものであり、ねらいと授業の流れ、というものが主な記載内容となります。そのため、1ページに収まる内容で書くことができます。
一方、「細案」というのは、これまでの学級の背景から日ごろの子ども達の様子、事前調査の結果、単元の構成、その日の授業計画というように、その日の授業に留まらない内容を記載する必要があります。
学外で行う研修や初任者研修、〇年目研修など、教育委員会主催の研修ではこの細案を提出することがほとんどです。
また、公開研究会などで、学外の教員に向けて授業内容を発信する場合にも細案が求められることがほとんどです。
略案ならまだしも、細案を書くとなると大変な労力となります。ただでさえ日ごろの業務がパンパンなうえに、細案まで求められる初任者などは、教員を離れていくのも頷ける業務量となります。
略案の作成についても、1ページで終わるものがあると記述しましたが、その内容を考え、記載するということだけでも、少なくとも数日を要します。
時々、指導案の書き方にいちゃもんを付けてくる方がいますが、粗探しとしか思えません。
指摘するのであれば内容を指摘するべきです。
働き方改革を謳っている教育現場において、もっとも廃止したほうが良い仕事の一つと私は考えます。
②子どものためのものではない
2つ目は、指導案というのは子ども達のためのものではないということです。
このようなことを書くと、「子ども達に質の高い授業を提供するためには必要だ」という方が現れそうですが、全く同意できません。
正直、指導案というものは、授業者がどのような授業をするのかということを、参観者のために準備するものです。
1万歩くらい譲って、自分が行う授業を明確化するものといえます。
明確な授業計画を立てる→良い授業ができる→子ども達のためになる、という方がいるかと思いますが、別に指導案を書かなくとも、メモ程度の流れをイメージするだけでも授業を行うことはできます。
むしろ、指導案というのは毎回の授業で書いている教員のほうが圧倒的に少数だと思いますので、日ごろの授業をそのまま見せるという意味では、指導案など作成しないほうが良いといえます。
参観者が授業の意図を知りたいのであれば、反省会などで口頭説明をすればよいのです。
それで十分指導はできますし、研修にもなります。
③記録が必要であれば、有志で紀要を作ればいい
指導案には「授業の記録」という側面があることは承知しています。
過去の指導案を見ることで、授業の流れが把握できるということは間違いないでしょう。
ただ、記録として残しておきたいのであれば、「紀要」を有志で作成すればよいと思うのです。
そうすれば、評価のほどはわかりませんが、大学教員公募などのプロフィールにも書くことができます。
どうしても研修などで指導案を書くというのであれば、それをまとめてあげたほうが良いと思うのです。
今も公開研究会などをしている学校は紀要を発行しているところがほとんどですので、そのようなイベントで指導案を書かなくてはならないのであれば、紀要として残すべきだと考えます。
以上、大きく3つの理由を挙げましたが、賛否両論あるかと思います。ただ、指導案を書いたからといって、良い授業ができるかといえばそうではありません。
指導案はあくまで「案」であり、授業は生き物といわれるように、計画通りに進むことなどほぼないからです。
計画通りにいったからと言って、それが良い授業とは限りません。
これまでの先生が残した指導案を基に授業を行ったとしても、うまくいく保証などありません。
当たり前ですが、子ども達の実態は毎日、毎分、毎秒異なっており、全く同じ授業など存在しないからです。
授業力の向上は教員という職業柄必要かと思いますが、指導案を書かないと授業力が上がらないということはないと思います。
授業を誰かに見てもらい、それに対して反省会を行うということでも同様の効果が得られると考えています。
悪口のようになってしまったかもしれませんが、個人的な意見として、指導案の廃止を提案します。
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