今回は学会発表における勘違いについてお話ししたいと思います。
学会発表
学会発表においては、過去の記事をご覧いただけたらと思うのですが、簡単にいうと、自分の研究を発表する場所です。
日本にはたくさんの学会があり、かなりマニアックな学会も存在しています。(日本Shock学会、日本思春期学会、日本ウマ科学会、日本股関節学会、などなど)
内情はピンキリですが、マニアックなジャンルだとしても、非常に深く、科学的に分析を行っている学会もあり、名前だけではバカにできません。
もし時間があれば、自分の趣味に関連した学会がないものか探してみるのも良いかもしれません。
大きな勘違い
この学会発表は自分の研究を社会に発表し、その研究に対する様々な意見をもらうというのが大きな目的の一つです。いろんな人の意見を聞くことで、自分の研究を「叩いて」もらい、研究の問題点や課題点を浮き彫りにするのです。
そのため、発表においては「批判」されることが基本となります。
このことを知っていた私は、初めての学会発表において非常に緊張していたことを覚えています。そして、初めての学会発表当日、発表を終えて質疑応答に移った際、「お疲れ様」といった趣旨の意見を一つもらうだけで、他には指摘点はありませんでした。
「えっ、全然怖くないじゃん」
「指摘がないってことは、自分の研究が認められたということ?」
といった心境になっていました。
恐怖体験
その時は知る由もなかったのですが、学会発表を繰り返すうちに、「質問されない」ということの本当の意味を理解するようになりました。
先述しましたが、学会発表というのはいろんな意見をもらい、「叩いてもらう」場所です。
その中で「質問が出ない」ということが意味するのは、
「興味がない」
または
「質問するに値しない発表」
ということです。
質問が一つもなかった最初の発表を振り返ってみると、研究者を名乗るのが恥ずかしいくらいの大恥です。
勘違いも甚だしい。
そのため、「質問がない」というのは、「叩かれる」以上に恐ろしいことなのです。
私のように研究を始めたばかりの方には注意をしてもらいたいのですが、「質問がない」というのは、あなたの研究が認められたわけではありません。
単純に興味がもたれていない、もしくは、質問する価値もない研究と暗に言われているのです。
実際に、大きな学会大会であればあるほど、著名な研究者の研究であればあるほど、質問が飛び交います。
基本的に研究者は「疑問」を解明するのが仕事ですので、学会発表においても「疑問」をもちながら話を聞きます。
卒論指導などをされた先生はお分かりになるかと思いますが、学部生などが初めて研究発表をした、発表を聞いたとき、質問はほとんど出ません。何を質問してよいのかわからないのです。
ただ、学会発表は違います。各分野の専門家が集まる場所ですので、疑問が出ないわけがないのです。
日本の学会はまだまだ優しい部分がありますが、海外の発表になるとぼこぼこに叩かれます。
きちんとした研究であれば、疑問が続々と出てくるからです。しかし、研究内容に興味をもたれないどころか、英語のやり取りができなければ、その時点で見切られ、誰も発表を聞きに来なくなるのです。
学会発表は研究を昇華させるチャンス
日本では多くの場合、学会発表を行い、その後で発表した研究を論文へとつなげます。
そのため、先ほども話しましたが、学会発表段階でたくさん叩いてもらうことで、論文にする際の問題点や課題点を浮き彫りにすることができます。
実際、学会発表の場は自分では気づけない指摘がたくさんあります。そして、その指摘に適切に応えられる回答を準備することができていれば、その研究は立派な研究なのだと思っています。
学会発表が教員採用につながるかどうかはともかく、発表を論文執筆につなげることで、業績は確実に蓄積されていくため、自分の研究者としての価値を高めることにもつながります。
学会発表は叩かれるにしろ、質問されるにしろ、私にとっては恐怖の場所です。ただ、視点を広げる場所でもありますので、今後もどんどん発表し、叩かれていきたいものです。
コメント