大学教員の仕事「定期試験」

大学教員の仕事

今回は大学教員の仕事の一つである、定期試験についてお話ししたいと思います。

定期試験は必須ではない

まず、大前提として、定期試験は必須ではありません。

レポート課題や実技試験など、様々な評価方法がありますので、すべての授業において定期試験が設定されているということではない、ということを知ってもらえたらと思います。

基本的に、定期試験を実施するかどうか、というのは担当教員の判断に委ねられます。

個人的には、知識を必要とする講義科目においては定期試験を行い、知識の定着度を確認する科目が多いのかなと感じます。

実技や演習科目においては、レポートによって最終評価を行っている科目が多い印象です。

定期試験の準備

定期試験を行うと判断したら、定期試験に向けて準備を行わなければなりません。

まず、大学の事務局から「定期試験実施の有無」について調査がきますので、実施の有無について回答します。

回答が終わったら、定期試験問題の作成です。

試験問題は本当に科目、担当者によって様々ですので、記述式、選択式、○×式など、いろいろな試験問題が作成されます。

受ける側だとあまり感じないかもしれませんが、問題の出し方にもメリット、デメリットがあります。

①記述式

記述式で試験問題を作成すると、「問題数が少なくて済む」というメリットがあります。

もちろん、多く設定をしても良いのですが、1科目につき、4問から多くても6問程度に設定している先生が多いのではないかと思います。

記述式においては、知識を問うこともさることながら、考え方を問う問題が設定されることが多い印象です。

知識身につけながら、適切に活用できるかどうか、という点が評価に関わります。

問題の内容については何を評価するのか、という点からしっかりと検討をする必要がありますが、問題数が少ないと純粋に準備が比較的楽です。

ただ、採点が大変です。

採点基準は設けますが、それぞれの回答に何点を与えるのか、ということを毎回検討しなければなりません。

そして、問題数が少ないと1問あたりの配点が大きくなるため、細かく採点を行う必要が出てきます。

正直なところ、日をまたぐと採点の見え方も変わってくることがありますので、私の場合は一気に終わらせるように心がけています。

②選択式

選択式とは、あらかじめ選択肢を用意しておき、その中から回答させるというものです。

メリットとしては、採点が楽です。

回答が完全に決まっているため、記述式のように、毎回検討をする必要がありません。

正か誤を判断し、配点するかしないかが決まるといったシンプルな採点となります。

選択式のデメリットとしては、問題作成が大変ということです。

選択式は基本的に多くの問題数を準備することが多いため、記述式のように4問などで済むことがほとんどありません。

少なくしてもよいかとは思いますが、記述式とは違い、多くの場合知識そのものを問うための内容となっていることが多いため、4問程度で終わらせられる内容にはならないのです。

そのため、数十問の問題を作成することとなり、それに加えて選択肢も用意しなければならないため、問題作成にはまとまった時間が必要です。

③〇×式

②の選択式の亜種となりますが、○×式の定期試験も結構見かけます。

〇×式のメリットとしては、②の選択式と同様に採点が楽ということです。

選択式よりも回答が2択しかありませんので、より採点がしやすくなります。また、選択肢を準備する必要も基本的にはないため、準備も楽です。

デメリットとしては、②の選択肢と同様、問題作成が大変ということです。

作成者にもよりますが、〇×式の場合、配点を一律にしていることが多く、1問2点で配点したとしても、50問は作らなければなりません。

また、選択式と違い、不正解(×)となる問題も作らなければならないため、正しく知識を問うためには、○×の判断を考えさせるような問題を作成する必要があります。

※試験問題は1度作ってしまえば楽ではありますが、データなどを利用して授業を行っている場合、データが変われば授業内容も変わり、それに合わせて試験問題も変わってくることがありますので、毎年確認は必要です。

試験問題の作成が終わったら、印刷を行い(事務職員さんが行ってくれる大学もあります)、試験問題が流出しないよう、事務局で保管してもらいます(各自で保管しておく場合もあります)。

余談ですが、定期試験は教室で行うものあれば、最近ではネット上で行うものも出てきています。

ネット上で行う試験は、採点を自動で行ってくれるものもあり、人間のように採点ミスがないため、作業の効率化につながっています。

定期試験当日

当日は試験の運営を行います。

試験は受講者数によって補助監督者が数名つきますので、その先生方に手伝ってもらいながら試験を進めます。

問題配布の方法やタイミング、試験内容の説明、タイムキーパーなど、基本的には監督者がすべて行います。

そして、試験が始まったら質問などへの対応と、不正防止のための机間巡視、受講者の学生証の確認などを行ったりします。

昔は定期試験中に別の仕事を行うなどの先生もいらっしゃいましたが、不正について厳しくなっている現代において、それはほとんどの大学で禁止となっています。

つまり、試験時間中は試験に集中しなければなりません。

大学の試験は一定の時間経過後、退出が可能となりますので、そのアナウンスなどをしながら、試験が終わるのを待ちます。

試験が終わったら、答案用紙を回収し、撤収します。

定期試験後

定期試験が終わったら、当然、採点が始まります。

採点が終わったら、その採点を含めた最終評価を行い、大学のシステムへと打ち込みます。

これで、定期試験を含む基本的な評価は終了となります。

算数の問題を採点する手

最後が雑になりましたが、今回は定期試験についてお話をしてみました。

学生の理解度を測ることが最大の目的である定期試験ですが、その準備と評価にはそれなりの時間とり労力が必要です。

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