子ども(幼児)に準備運動は必要? 簡単な遊び3選!!

運動・健康

今回は幼児の準備運動についてお話ししたいと思います。

運動を行う際、多くの人が準備運動を行ってから主運動に移っているのではないかと思います。

それは多くの幼児も同じで、園に通っている幼児はほとんど準備運動をしてから主運動に移っているのが現状です。

ただ、準備運動の効果や必要性について、考える機会はあまりないのではないでしょうか。これまでも長い間行われてきたから、その延長で行っているというケースも非常に多くみられます。そこで、今回は準備運動の必要性や効果について考えていきます。

①準備運動の必要性

まず、準備運動はそもそも必要なのでしょうか。結論から言うと、「幼児には必要ない」と言えます。これは意外かもしれませんが、1974年に発表された論文でも指摘されていることで、今から50年近く昔に発表されている論文でも幼児、正確には小学生低学年以下には必要がないことが示されています。

(松永博(1974):授業における準備運動のねらいとその効果、体育の科学、24(10)、361-364)

近年でも、一般的な準備運動の有無がけがの発生に大きな影響を与えないことから、幼児期に準備運動は必要がないことが明らかとなっています。

準備運動をする子ども

②準備運動の目的

準備運動は幼児には必要ないという話をしましたが、では、これまで一般的に行われてきた準備運動は何だったのでしょうか。一般的に準備運動には二つの目的があるといわれており、一つ目は「集団活動における秩序」を教えること、二つ目は「生理学的なウォーミングアップ」とされています。一般的に「準備運動」と呼ばれるものは、この一つ目の意味合いが強く反映されているものと言えます。そのため、ラジオ体操や学校オリジナルの準備運動などのように、全員で同じ運動を行い、集団としての一体感や集団の一員としての意識を高めるといった活動が現代まで引き継がれ、そのままなんとなく残っている、といったものが現代における一般的な「準備運動」となっています。

ラジオ体操

③準備運動を取り入れる際のポイント

それでは、準備運動には意味がないのでしょうか。それは「内容による」、としか言えません。上でお話しした一般的な準備運動であれば、集団活動としては効果を発揮するかと思いますが、けがの予防、主運動へのスムーズな移行といった点では意味がないといえます。そこで、基本的に幼児期は準備運動が必要ないのですが、もし行う場合には意識したいポイントについてお話していきます。

・体を温める運動を取り入れる

上でお話しした二つ目の目的となりますが、「体を温める運動」というのが非常に重要となります。準備運動は「ウォームアップ」とも言われたりしますが、こちらの意味のほうがその後の運動にとっては重要性の高いものとなります。

体を温めるということは、基本的に活動量が多い運動を選ぶ必要がありますので、ある程度動きの大きい運動や、力を発揮する運動を選んでみましょう。

体を温めるということは、関節の可動域を広げたり、柔軟性が高まったり、呼吸器機能が高まったりと、多くのメリットがあります。そのため、準備運動を取り入れる際は、まず体が温まるのかどうか、という点に着目してみましょう。

汗だくのこども

・誰でも簡単にできる運動を取り入れる

準備運動においては、運動の難易度を最も低く設定する必要があります。そのため、その場にいる誰もが取り組めるような運動を取り入れましょう。また、園生活では集団で運動を行うことがあるかと思いますが、その場合には、全員が一斉に遊べる遊びが望ましいでしょう(待ち時間が発生すると、運動の効果が薄れてしまいます)。

準備運動をする子ども達

・主運動につながるような運動を取り入れる

ここが本来の「準備運動」のねらいとなります。主運動に移るための「準備」として用いられるのが本来の目的ですので、主運動に近い動きが含まれている運動を行う必要があります。例えば、ドッジボールを行うのであれば、キャッチボールの要素を取り入れたり、リレー運動を行うのであれば、「走る」要素をとりいれた鬼ごっこを取り入れたりと、主運動に近い動きを考えてみましょう。極端な例ですが、サッカー遊びを行う前に手押し車を入れたり、縄跳びを行う前にキャッチボールを入れたりと、系統の全く違う遊びを準備運動としてしまうと、その効果は薄れてしまいます。そのため、できるだけ主運動に近い動きが含まれている遊びを取り入れてみましょう。

サッカーをする子ども

④準備運動の代表例

上のポイントをまとめると

「活動量があって」、「誰にでもできて」、「主運動に近い動きが含まれている」運動

が準備運動としては理想的と言えます。

ただ、そのような運動を毎日考えるのはなかなか大変ですので、準備運動として使われる頻度の高い遊びをいくつか紹介しておきます。

①鬼ごっこ

正直、この遊びに勝る準備運動はないのではないかと思います。それくらい万能な遊びです。活動量も多く、誰でも遊べて、全身運動という要素が揃っていますので、迷ったら鬼ごっこを準備運動として取り入れましょう。注意としては、鬼ごっこの種類によっては活動量が下がってしまうこともあるため、場面によって使い分けることが大切です。

鬼ごっこをする子ども

②足ふみ・膝タッチ

その場でできる簡単な遊びです。欠点としては、一人ではできず、二人組を作る必要があることです。二人組を作り、片手で握手をします。握手した手を離さず、相手の足を踏むことができたら勝ちという遊びです。ただ、子どもは加減が難しい場合もありますので、その場合は膝にタッチしたほうが勝ち、というルールに変えても良いでしょう。場所をとらず、相手を変えて繰り返すことによって活動量もしっかりと確保でき、全身運動でもあるため、多くの主運動へとつなげることができます。

足ふみで遊ぶ親子

ねことねずみ

こちらも「走る」系統の遊びです。詳しい遊び方については本ブログの「幼児期に反射神経を鍛えよう!! 簡単で楽しめる反応遊び5選!!」をご覧いただきたいのですが、ゲーム性もあり、活動量もある程度確保できる遊びとなっています。短距離を全力で走りますので、短時間で体を温めることができます。ある程度の広さが必要となりますので、行う場所によっては活動量が低くなってしまうかもしれません。

追いかけっこをする兄弟

今回は準備運動についてお話ししました。幼児期は基本的に準備運動が必要ありませんが、普段何気なく行っている準備運動に意識を向けてみると、違った遊びや運動を取り入れるきっかけになるかもしれません。ぜひ、ご活用ください。

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