今回は1歳児のマット遊びについてお話しします。
1歳児は移動手段が安定していないため、子どもによっては歩いてる子、ハイハイしている子、ズリバイしている子と様々かと思います。しかし、マットの利点はどのような発達段階の子でも安全に遊ぶことができるという点です。むしろ、マット自体が緩衝材となるため、歩行の練習にもお勧めすることができます。マットは歩いたり、寝転んだり、転がったりと、全身を使った遊びが安全にできるため、低年齢児にもおすすめです。体の動かし方を遊びながら身につけましょう。
◎ねらい
①運動に関するねらい
・自由に転がって遊ぶ。
・マットの段差を昇ったり、降りたりする。
②心情に関するねらい
・保育者と一緒に転がったり、寝転んだりすることで、スキンシップを深める。
・直接的なふれあいを通して、保育者や他児との信頼を深める。
◎具体的な遊び例
①自由に転がる
自分で転がったり、大人が転がしてあげたりする遊びです。前転や後転はまだまだ難しいため、もしチャレンジするとしても、補助をつけるようにしましょう。子ども自身でできる転がり方としては、横にころころと転がるのが一番やりやすいかと思います。鉛筆のように手を伸ばして転がってみたり、だるまのように膝を抱えながら転がってみたりと、自由に転がって遊んでみましょう。転がりながら上下左右が入れ替わることで、三半規管を含むバランス感覚に刺激を与えることができます。
②昇り降り
マットでつくった段差を昇ったり、降りたりして遊んでみましょう。歩行が安定していないため、シンプルな昇り降りだとしても、子どもたちにとっては難しい課題である場合があります。ただ、マットの上では転んだとしてもケガをする可能性が非常に低いため、練習の場とすることができます。慣れてきたら、マットを重ねて段差を高くしたり、跳び箱の上にマットを敷き、小さな山を作ったりしてみましょう。よじ登って越えていく動作を含め、全身運動で楽しむことができます。昇り降りにも慣れてきた場合は、昇った後に跳び下りて遊んでみましょう。着地の動作は骨に適度な刺激を与えることができるため、体の発育に有効な遊びとなります。
◎環境設定
マットは汚れやほこりをきちんと取り除いてから使用しましょう。特に、長年使っているマットであれば汚れやほこりが付着しやすくなっているため、事前の確認は念入りにしましょう。また、気持ちよくマットで転がれるよう、可能であれば暖かく陽当たりの良い場所で実施しましょう。日の光を浴びながら運動ができるだけでなく、マットの日光消毒も兼ねることができるため、衛生環境も整えることができます。
◎安全への配慮
マットの段差で転倒することもあるため、マットの遊びに慣れない時期の昇り降りには注意をはらいましょう。マットを運ぶためのいわゆる「みみ」と呼ばれる手持ち部分がある場合は、足が引っかからないよう、マットの下に入れましょう。子どもが自由に動いている中でも、とくに首の関節に過度な負荷がかかることが予想される体勢には留意し、体勢を改めるような援助を行いましょう。前転や後転は無理にさせることなく、挑戦する意思がある場合のみ補助を行うようにしましょう。
◎保育者の援助
多様な動きの発達を刺激するため、マットの使い方を工夫しましょう。マットは敷くだけでなく、丸めたり、被せたり、立てたりと幅広い使い方ができるため、子ども達の実態に合わせていろいろな使い方を検討してみましょう。また、保育者が動きを指示するのではなく、子どもが動きたくなるような声かけや、場の工夫を心がけましょう。最初は自由な動きでマット遊びが楽しい、心地よいと感じることが大切です。そのため、指示することが優先となってしまわないよう意識してみましょう。
今回は1歳児のマット遊びについてお話ししました。
マットは心地よく全身運動が行える場となりますので、転がったり、揺れてみたり、逆さまになってみたりと、マットの安全性を活かした遊びを経験させてあげましょう。
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