今回は2~3歳児のフープ遊びについてお話しします。
2~3歳になってくると、フープの特性を活かした遊びができるようになります。つまり、転がしたり、くぐったり、内と外を区別したりといった遊び方ができるようになります。
いろいろなタイミングや体の動かし方、友達との協力など、多くのことを学ぶことができます。個人はもちろんのこと、ペアや小集団など、少しずつ友達との関わり合いも取り入れてみましょう。
◎ねらい
①運動に関するねらい
・「とぶ」「回す」という動きを経験し、リズム感を養う。
・操作運動、全身運動を組み合わせ、調整力を養う。
②心情に関するねらい
・他の子どもとフープを介して一緒に遊ぶ楽しさを味わう。
・友達と関わる中で、フープを譲ったり、借りたりする経験をする。
◎具体的な遊び例
①立ち上がり
二人一組をつくり、一人はフープの中に入り、もう一人は外側からフープを持ちます。そして、中にいる人はしゃがんだ状態となり、外側にいる人にフープを頭の上から落としてもらいます。フープが地面に着くと同時に立ち上がる遊びです。シンプルな遊びですが、タイミングよく体を動かす必要があるため、リズム感を養うことにもつながる遊びです。
②輪投げ
その名の通り、目印がフープの中に入るようねらって投げる遊びです。一般的な輪投げをフープで行うというイメージをもっていただけたらと思います。フープを使うことで、より目印がフープの中に入る確率が高くなり、成功体験を得やすくなります。難しい場合には小さい目印を大きなフープでとらえられるようにしてみましょう。
③電車ごっこ
1歳児のフープ遊びでも紹介しましたが、2~3歳児でも電車ごっこは人気の遊びです。1歳児と違う点としては、2~3歳児は保護者と一緒ではなく、一人でフープの中に入って遊んだり、友達と連結したりしながら遊ぶという点です。音楽を活用したり、実際の電車を見せたりしながら遊ぶと、より楽しめるかと思います。
④フープ渡り
フープを床に並べ、ジャンプしながらフープの中を渡っていく遊びです。こちらの遊びもシンプルにはなりますが、「跳ぶ」「着地する」という動作が含まれることで、骨や筋肉には程よい刺激が加わります。跳ぶことに慣れていない子どももいるかと思いますので、可能であればいろいろな大きさのフープを準備して、子どもの実態に合った場づくりができるとよいでしょう。
◎環境設定
1歳児と同様に空間の確保が重要となってきますが、2~3歳児は活動量が増えるため、1歳児よりも広い空間を確保することが望まれます。大人と遊ぶことが主体だった1歳児から、一人遊びや友達と遊ぶことが主体となる年齢へと変わってきますので、子ども達が十分に動ける広い空間を確保することがケガの防止にもつながります。それに合わせて、大きさの違うフープや音楽等も準備できると良いでしょう。
◎安全への配慮
フープの扱いに慣れてくると、フープの中に無理やり入ったり、フープに無理な力を加える姿が見られるようになります。フープは使い方によっては首や体を圧迫したり、折れてしまったりすることもありますので、使い方については注意が必要です。フープの中に入っているときは、周りから強い力で引っ張ったり、フープを無理に変形させたりしないよう話ができるとよいでしょう。また、転がす場合は周囲の状況に注意し、転がす方向に人がいないことを確認することも必要です。転がす楽しさを覚えるためにも、安全確認の約束事についても話ができるとよいでしょう。
◎保育者の援助
慣れないうちは、動く速さやタイミングを保育者が調整するとよいでしょう。友達と遊ぶ段階ではありますが、フープの操作はまだまだ難しいことが多いです。そのため、フープを転がしたり、投げたりする際には、保育者がお手本を見せてあげたり、援助してあげたりできるとよいでしょう。また、ものの取り合いが起こりやすい時期であるため、争いが起こることが多々あります。特に色や大きさが違うフープを準備した場合にはケンカが起こることがよくあります。仲裁をしながらも、社会性を学ぶ機会ととらえて、子ども同士で解決できるような対応ができるとよいでしょう。場合によっては、遊びが停滞することも考えられますので、その際には保育者が新しい遊び方を提案してあげることも一つの方法です。そのため、フープ遊びのバリエーションを知識として身につけておけると、子ども達の意欲を下げることなく遊びに向かわせることができます。
今回は2~3歳児のフープ遊びについてお話ししました。
2~3歳児は少しずつフープの特性を活かした遊びができる時期ですので、フープ特有の動きをふんだんに取り入れて遊んでみましょう。また、徐々に友達との関わり合いを増やしながらフープ遊びを楽しんでみましょう。
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