今回は「補教と補講」のお話をしようと思います。
「補教」
まず、補教と補講という言葉の意味について簡単に説明しておきますが、「補教」というのは、主に小学校で使われる言葉です。
担任教員が研修などの出張や病欠をした際に、他の教員が代わって授業を行うことです。
基本的に「補教計画」というものを管理職に提出し、代わりの教員に授業を行ってもらいます。
そのため、補教計画には現在どこまで授業を進めているのか、その日に進めてもらいたい授業内容は何なのか、使用するプリントはどれなのか、朝の会、給食、帰りの会の進め方など、できるだけ細かく記入しておく必要があります。
補教を行う教員は、その学校の教員配置にもよるのですが、補教専門の教員を教育委員会が配置してくれる場合や、教務主任が行う場合、はたまた教頭が行う場合など様々です。
初任の時は初任者研修があるため、教育委員会が補教者を配属してくれることが多いのですが、その他の場合は教務主任や教頭、非常勤の教員が対応することがあります。
「補講」
一方「補講」とは、基本的に大学で使用される言葉であり、通常の授業ができなかった際に、別の日時に改めて授業を行うことを示します。授業だけでは足りなかった内容を補うためにも行われることがありますが、ほとんどの場合は教員が病欠や出張などで通常の日時に授業を行えなかった振替として行われる授業を指します。
新型コロナウイルスが流行る前は別日に授業を設定することが一般的だったのですが、最近ではオンラインで補講を行うことも増えてきました。
ちなみに、オンラインで行っても良い授業単位数というのが大学設置基準によって決まっており、卒業に必要な124単位のうち60単位までであれば完全オンライン授業でも可能となっています。また、総授業回数の半分以下の回数であれば(15回の授業であれば7回以下)、オンラインを併用したとしても、その科目は「対面授業で実施する科目」として認められています。
以上のことから、最近は対面授業をオンライン授業に切り替えることで補講をなくしたり、補講自体をオンラインで行う方も増えてきた印象があります。
「補教」と「補講」の大きな違い
上記で説明してきた補教と補講ですが、この二つには小学校教員と大学教員の大きな違いが表れています。
まず「補教」は大学教員にはできません。
なぜなら、各授業を受け持っているのはその分野の専門家であり、大学には基本的に同じ分野の専門家は2人いないからです。
そのため、各科目は担当教員が一人で進めることとなり、別の人に授業を変わってもらうということができません。
病気などにより教員がどうしてもその科目を担当できなくなった場合は、次年度に改めて開講するか、別の非常勤講師を雇い、集中講義等で対応する必要があります。
※複数で科目を担当している場合(オムニバスなど)は除きます。
一方、「補講」は小学校教員にもできるかもしれませんが、基本的にはやらないと思います。年間必要授業数がパンパンに詰まっているとともに、同じ分野の教員が複数いますので、別の教員が担当できるのであれば、わざわざ別日に担任が授業をする必要もありません。
高校などであれば、「課外授業」として、普段の授業内容にプラスした内容を扱うことも珍しくありませんが、義務教育段階では、補講を選択することはないでしょう。
(年度末の今の時期、小学校の先生方は各科目の必要授業数を整えることに必死だと思います。いや、必死だったのは私だけかな‥)
このように、小学校と大学の授業では、通常授業を行えなかったときの対応が異なります。
小学校では、授業を代わることはできますが、ある意味「変わらなければいけない」のであり、自分の意志で別日に補講を組むことはできません。
大学では授業を代わることはできませんが、内容や補講日を自分で設定することができます。
当然のことと言えば当然なのですが、改めて考えてみるとその違いが面白く感じたので記事にしてみました。
それぞれの教育現場を知っていただけたら幸いです。
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