若手研究者(博士号無し)が科研費(基盤C)を獲得するための方法

大学教員の仕事

今回は科研費(基盤C)の獲得方法についてお話ししたいと思います。
※今回の記事は大学教員を含め、研究者向けの記事となります。どうか、ご承知おきください。

科研費とは

研究者向けの記事と書きましたが、初めて科研費という言葉に触れる方もいらっしゃるかと思いますので、説明をさせていただきます。


科研費とは、「科学研究費助成事業」の略称のことでして、簡単に言うと、国が研究者に配分している競争的研究費の一つとなります。


さらに簡単に言うと、「研究者が研究を行うために獲得するお金」の一種です。

基本的に大学という機関においては、学内研究費というものが年度ごとに配分されるのですが、昨今の大学経営は厳しいところがあり、国立大学でさえ、雀の涙程度しか配分してもらえないとの話を聞きます。


そのため、学外から獲得してくる外部資金は、より良い研究を行うためには非常に重要なものとなっています。

外部資金を獲得し、より良い研究を行う。そうすると、その研究を基にさらに研究を進めることができる。そして、その研究が業績となり、さらに外部資金が獲得しやすくなる。

このような好循環へとつながるきっかけとなり得ますので、外部資金獲得というのは研究者にとって大きな意味を持ちます。

若手研究者の科研費獲得

ここからはより専門的な話となりますので、興味が薄れてきた人は、どうぞ別のことに時間をお使いください。

若手研究者が科研費を獲得しようとする際、基本的には「基盤C」か「若手研究」のどちらかが主戦場となるのではないかと思います。


(小・中・高校の教員で研究を行っている方は基本的に科研費には応募できないのですが、「奨励研究」という枠であれば外部資金を獲得することができます。)


または、研究者になりたての方であれば「研究活動スタート支援」という枠で応募する方もいるかと思います。



数年前までであれば、40歳未満の方は「若手研究」に応募するのが一般的でしたが、近年はある制限がかかり、「若手研究」に応募することができなくなった方がいます。

それは、「博士号を取得していない人」です。

これまでは博士号を取得していなくとも、40歳未満であれば「若手研究」枠に応募することができたのですが、2023年現在は「博士号を取得後8年未満の研究者」が「若手研究」の対象者となっています。


つまり、修士号までしか学位を取得していない若手研究者は「若手研究」には応募できなくなったのです。

では、その方々はどの枠に応募するのかというと、「基盤C」です。

枠が変わるだけでしょ、とい思う方もいるかもしれませんが、「若手研究」と「基盤C」の枠には大きな違いがあります。

まず、先ほども説明をした通り、「若手研究」は応募できる方の制限がありますので、「基盤C」よりも応募者の数が少なくなります。


そして何より、若手研究は若手研究者を支援するための枠ですので、業績より豊かな着想が重視され、業績をまだ積み上げられていない人でも十分に戦うことができるのです。

一方、「基盤C」となると、若手研究のような制限はありませんので、老若男女、どのような研究者でも応募することができます。そのため、応募者の数も跳ね上がり、競争がより激化します。


また、分野にもよりますが、応募制限がないため、業績が数百という方も競争相手となることがあります。そうなると、業績が少ない若手が基盤Cで戦うのは非常に厳しくなるというわけです(業績が数百ある方は基盤BやAに行くとは思いますが、中には大物もCに応募してくることもあるようです)。

実際に、2023年1月に公表された2022年度のデータによると、

【基盤C】
応募件数:45,434件(基盤A・B・Cを合わせた中の約76%)
採択件数:12,952件(採択率:28.5%)
【若手研究】
応募件数:13,142件
採択件数:5,293件(採択率:40.3%)

日本学術振興会、科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(令和4年度 新規採択分)

となり、若手研究のほうが採択されやすいことがわかります。

では、博士号を取得していない若手教員は「基盤C」においてどのように戦っていけばよいのでしょうか。

私の戦績

私はこれまで9回の挑戦をしてきましたが、今年度ようやく採択してもらうことができました。


タイトルにも書いていますが、私ももちろん「博士号無し」の研究者ですので、採択されたのは「基盤C」です。


戦略についてお話しする前に、簡単に私の戦績をご紹介します。

・若手研究:不採択(C評価)
・若手研究:不採択(B評価)
・若手研究:不採択(C評価)
・若手研究:不採択(B評価)
・若手研究:不採択(B評価)
※ここから博士号未取得者は若手研究に応募できなくなりました。
・基盤C:不採択(B評価)
・基盤C:不採択(B評価)
・挑戦的萌芽:不採択
・基盤C:採択

このように、連敗が基本だった中で、今年度は何とか基盤Cにおいて採択をしてもらえました。
毎年戦略は変えていたのですが、採択につながった理由として考えられることがいくつかありますので、それについてお話ししていきたいと思います。

これまでの経験も踏まえながら、私と同様の境遇にいらっしゃる研究者の方が採択されるよう、私の戦略をお伝えしたいと思いますが、戦略をお伝えするということは、ライバルを増やすということにもつながります。


そのため、ここから先は申し訳ないのですが、有料とさせていただきます。


決して安くはないと思いますが、「博士号を取得していない若手」が戦っていくための情報というのは多くないのかと思いますので、ご理解いただけると幸いです。

若手研究者(博士号無し)が科研費を獲得するための方法|小学校教員から大学教員になるまで|note
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