今回は大学教員公募についてお話をしたいと思います。
※大学教員公募についてお得な情報をまとめています。noteにて有料とはなりますが、20本以上の記事が詰まっていますので、ご参考になれば幸いです。
公募の出る時期
大学教員公募というものは分野を限定しなかった場合、基本的には1年中行われていることがほとんどです。
公募が1件もない時期というのはありません。
ただ、自分の専門とする分野において公募がでているか、というと話は別になります。
これは各大学がどのタイミングで教員を補充するのかによって変わりますので、予測が難しいところがあります。
定年退職をされる方の補充であればある程度予測できるため、学会内で情報が回ったり、うわさが出たりということはありますが、他大学に移る方の補充となると、その方がどのタイミングで異動をするのかによって公募を出すタイミングが変わってくるため、予測することはほとんど不可能です。
そのため、運の要素も含んでいます。
(運に関する記事も書いていますので、よかったらご覧ください。)
ただ、公募の数が増える時期というものがあります。
いつもお話ししている大学教員公募をチェックする際に利用する「JREC-IN Portal」さんのデータでは以下のようになっています。
このデータを見ると、8月に公募数が最大となり、その後11月頃に再度増えるものの、その後は減少していき、4月が最小となることが分かります。
このデータは13年分のデータを掲載していますが、掲載件数の傾向はほぼ毎年変わらないことが分かります。
そのため、毎年同様の増減をするといってもよいでしょう。
ここまではデータを見てもらえたら誰でもわかることなのですが、ここからが問題です。
先ほど、公募を予測するのは不可能といいましたが、ピンポイントである分野の欠員を予測するのは、定年退職でなければ、ほぼ無理です。
ただ、大学の規模によって公募が出る時期を予測することは、ある程度可能です。
また、公募が出る時期によって、「危険な公募」を予測することも可能となりますので、その回避方法についてもお話ししたいと思います。
大学規模別:公募が出されやすい時期
文科省においては、大学の規模を以下の4つに分類しています。
A(8学部以上)
B(5~7学部)
C(2~4学部)
D(単科大学)
そのため、この区分を活用しながら話をしていきたいと思います。
A・B区分の大学
B区分以上の大学においては基本的に春先から夏にかけて公募が出されることが多いです。
特にA区分の大学や国公立大学はその傾向が強く、早めに公募をかける印象があります。
もちろん、欠員が出たタイミングによっては、年度末に公募をかけることがあるかもしれませんが、定年退職に伴う欠員の場合などは欠員が予測できるため、公募が出されるのも早くなります。
C区分の大学
多くの私立大学が属するC区分の大学については、多くの場合秋口から年末にかけて公募を起こす印象です。
これはA・B大学の公募によるものも含まれます。どういうことかというと、A・B区分の大学に採用が決まった人は、今現在、在籍しているC区分大学を去ることとなりますので、それに伴う公募が起こります。つまり、玉突き的に公募が起こるということです。
D区分の大学(医学系大学を除く)
C区分大学の説明でも書きましたので、ある程度予測はされたと思いますが、D区分の大学では年末から年度末にかけて公募が起こる傾向が高くなります。
先ほども申しましたが、A~C区分における欠員が早い段階で出た場合、その後に公募を起こさなければならないことから、規模の小さな大学であればあるほど、公募を起こすことが遅くなりがちです。
繰り返しになりますが、上記の時期はあくまで私が個人的に感じる傾向であり、何かしらのデータがあるわけではありません。
ただ、公募戦士の方々はわかるかと思いますが、有名大学や大規模大学であればあるほど、良い人材を欲しがりますので、年度の早い段階で公募を起こす印象があります。
もちろん、B・C・D区分の大学も同時期に公募を出すのですが、やはり、大規模大学に行きたい人が多いため、自然と大規模大→中規模大→小規模大といった構図が生まれてしまうわけです。
そのため、年度初めから公募数がピークとなる8月頃までに出る公募が最も「新鮮な」公募となり、その後は玉突き的に公募が起こされる可能性が高くなっていきます。
危険な公募
上記でも説明してきましたが、年度末に近づくにつれ、公募を出す大学の規模は小さくなっていきます。
そして、公募条件がめちゃくちゃな、いわゆる「危険な公募」が増えていくのです。
以前、一本釣りという記事を書きましたが、年度途中でも一本釣り目的でめちゃくちゃな公募が出る場合があります。
年度途中の一本釣り公募は、条件が細かく指定されており、英語で授業ができる、分野が3つにまたがっているなど、ほしい人材に合わせて公募条件を組むため、ある意味無茶な条件が出されることがあるのですが、年度末に起こされる公募は、また一味違った危険性があります。
多くの場合、年内に公募を終わらせ、年明けからは次年度に向けた新しい組織体制が検討されます。
公募があったとしても、非常勤の公募に絞られることがほとんどです。ただ、国立大や大規模大になると手続きに時間がかかるため、公募を起こせないこともあります。
しかし、小規模大では、ぎりぎりまで退職の意思を示さず、年末ぎりぎりに退職の意思を示す教員がいると、そこから常勤教員を公募しなければなりません。大規模大学であれば、教員数も多いことから、他の教員が兼務することも出きるかもしれませんが、小規模大学では一人の教員の負担が大きいため、その教員が抜けた穴は是が非でも補充しなければならないのです。
そう言った場合、急ピッチで人を集めなければならないため、公募期間が1週間という公募や、提出書類が履歴書と教育研究業績書だけという公募が生まれます。
基本的に公募は数か月、少なくとも1カ月は募集期間を確保して行うことが多く、提出書類に関しても、その人を精査するために志望理由書、推薦書などが必要となることが多いです。
書類を作成する側からすれば楽なのですが、あまりにも提出書類が少ない場合、「誰でもいいから」感を感じてしまい、個人的には危険だと感じます。
まとめますと、
・公募期間が異常に短い公募
・提出書類が極端に少ない公募
・2月~3月に出される公募(次年度採用のものは除く)
といった公募は要注意です。
次年度採用の公募を早めに起こすこともあるのですが、当該年度採用で2月以降の公募は、採用されたとしても、大学組織としてブラックであることが多い印象です。
逆を言えば、どのような大学でもいいから、とにかく大学教員になりたい、という方にはチャンスといえます。
大学側も人材を欲しがっていますので、条件さえクリアできれば大学教員となることができます。
ただ、おすすめはしません。
せめて、秋口までに出される公募で内定をゲットし、現在の職場にも早めに伝えることで、円満退職をするのが理想だと思います。
何事もそうなのですが、余裕をもった行動がやはりベストですね。
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