今回は小学校教員における業務の中でも、悩ましい業務の一つである「丸つけ」についてお話ししたいと思います。
時間のかかる丸つけ
まず、小学校や中学校、高校教員の方々は重々承知されているかと思いますが、丸付けという作業は非常に時間がかかります。
数ある事務作業の中でも、丸を付けるだけというシンプルな作業でありながら、省略することができない曲者でもあります。
学級の人数が30人だと仮定して、漢字のプリントがあったとしましょう。
1人1分で丸付けを終えられたとして、単純計算で30分かかります。
ただ、それはあくまですべて丸だった場合です。
間違いがあり、訂正などをしていれば、2分、3分とかかることは当たり前となっていきます。
ましてや、問題数の少ない低学年ならまだしも、問題数の多い高学年になってくると、そう簡単に丸付けは終わりません。
そう考えると、たかが漢字のプリント1枚であったとしても、1時間などすぐに過ぎ去ってしまうということがお分かりいただけるかと思います。
そして、国語、算数、理科、社会など、それぞれの教科において丸付けをすべきプリントがあれば、どんどん溜まっていってしまいます。
教員を悩ませる業務の代表格だと私は思っています。
自分たちで丸付け
上記の問題を解決すべく、私がとっていた対策が「自分たちで丸をつけさせる」というものです。
当然、実践していたのは私だけではなく、既に実践されている先生方もいらっしゃるかと思います。
そして、当たり前だと思われるかもしれません。
私の進め方としては、何か丸付けをすべきプリント類があった場合、隣同士でプリントを交換させ、丸付けをさせます。
その後、そのプリントを回収し、提出・取り組み状況を確認したのち、改めて本人に返します。
これだけです。
最近は、宿題などは保護者に丸付けをお願いする先生もいらっしゃるようですが、保護者にお願いするよりもお互いに丸付けをさせるほうが個人的には良いと思います。
その理由としては、「丸付けをしてもらう」のではなく「丸付けをする」という経験が重要だと思っているからです。
基本的に子ども達は、教員だろうと保護者だろうと「丸付けをしてもらう」という状況になります。
この場合、「自分の間違いはどこか」ということをチェックしてもらい、「その間違いを振り返る」という流れとなります。
ただ、子ども同士で丸付けをする場合、「友達がどこを間違えているのか」ということをチェックする過程が間に入ります。
この過程が重要だと考えています。
教員の方々ならお分かりかと思いますが、人に何かを教えたり、採点をしたりするときに、その学習内容に対して最も理解が深まります。
なぜなら、人に教えるという場合、自分が理解していることを相手がわかるように嚙み砕いて説明をする必要があるからです。
採点を行う場合も同様で、なぜ間違っているのか、なぜ正解であるのかということを理解したうえで採点を行う必要があるからです。
長ったらしくなってしまいましたが、子ども同士で丸付けをするということは、それぞれが「小さな先生」になる機会となります。
丸付けをする中で学習内容に対する理解を深めるだけでなく、教員の作業時間も削減してくれるため、これほど良い方法はありません。
もちろん、最終的には教員がチェックする必要があるのですが、ゼロから丸を付けるときよりもはるかに作業時間を短縮することができます。
この互いに丸付けをさせる時期としては、小学校1年生の2学期くらいからなら十分に可能だと考えています。
実際に私は小学校1年生の担任をしていましたが、2学期からなら問題なく互いに丸付けをすることができました。
高学年で互いに丸付けを行えるのは当然ですが、低学年からも実践すべきだと考えています。
今回は当たり前の内容ながら、実際に作業時間の短縮につながる「丸付け」についてお話ししました。
時々、教員が丸付けをしなければならないという一種の強迫観念のようなものに取りつかれてしまっている方がいますが、日々の宿題などはどんどん子ども達に採点をさせるべきです。
丸付けに限らず、子ども達にできることは子ども達にさせて、どれだけシステム化できるかが、真の教員の実力だと個人的には思います。
コメント