【基盤C】初めて科研費を使ってみて

大学教員の仕事

今回は初めて科研費を使ってみた所感について書いてみたいと思います。

※有料にはなりますが、科研費取得に関する記事はこちらをご参照ください。

https://note.com/embed/notes/n669ab150e078

効率が上がる

科研費が使えるようになって最も恩恵を受けているのが作業の効率化についてです。

私は文系ですので、理系のように試薬や実験動物、専用機器などを買うわけではありませんが、最低限の周辺機器(パソコン、モニター、キーボードなど)をそろえました。

これまでは学内研究費で上手くやりくりしながら研究を進めていたのですが、パソコンやモニターなどを買いそろえるというのは自腹を切らない限りできませんでした。
(学内研究費も年々カットされていますので、学会の年会費などに使ったら、手元に残るのはほんのわずかです。)

しかし今回、科研費を使えるようになったことで、考えもしなかった高額なパソコンやモニターにも手が届くようになりました。

大学から支給されているパソコンにも不満はないのですが、やはり、自分が望むパソコンやモニターが揃うことで、研究効率がはるかに上がったと感じます。

具体的に話をすると、モニターを50インチの大型モニターに変え、パソコンもゲーミングPCへと変えました。

PCの処理速度もさることながら、モニターが大型化したことで作業効率が上がったと感じます。

光が強いため長時間の使用はあまりお勧めできませんが、大型モニターだとワードやエクセルといったファイルも同時に3~4つ開くことができ、同一モニターで確認することができるため、デュアルモニターのように頭を左右に動かさなければならないということもありません。

高い買い物ではありましたが、研究作業の効率化には間違いなくつながっています。

精神的余裕が生まれる

これは研究に限ったことではありませんが、研究を進めるうえで金銭的な余裕があると精神的にも余裕が生まれます。

研究が煮詰まってくると、研究方法の変更を模索したり、研究そのものの変更を余儀なくされたりするのですが、その際に、金銭的余裕があると、研究計画にも余裕が生まれます。

どういうことかというと、これがないからこの方法はダメだ、この方法だと予算が足りない、といった心配が大幅に減るということです。

科研費を申請する際に研究計画は提出するのですが、その計画通りに行くことは少ないと聞きます。

そのような場合でも、科研費を柔軟に使うことで、研究の質を下げることなく研究を進めることができます。

うかうかしていられない

科研費を取得した以上、研究を進めなければなりません。

これは良くも悪くも、自分のペースではなく、確実に毎年研究の進捗を報告しなければならないため、半強制的に研究を進めなければなりません。

「来年でいいか」などと考えて研究を後回しにするということができなくなりますので、怠慢な私にとっては良い抑止力になっているのですが、プレッシャーになっていないかというと、それは嘘になります。

税金を使って研究を行っている以上、何かしらの成果を出すのが定めですが、研究は必ず成果が出るというものではないため、可能な限り有用に使いたいとは思っています。

日々の研究のプレッシャーもそうなのですが、科研費の申請書を免除される期間も、意外と少ないと感じます。

私は3年間の研究で科研費を取得したのですが、3年間の研究であれば、申請書を書かなくてよい期間は2年となり、再び科研費を取得するためには、3年目には新たな申請書を書かなくてはならないのです。

2年間免除されるだけでもありがたいのですが、うかうかしれいられないという気持ちもあります。

計画を基に、常に先を見ながら研究を進めなければならないと感じる日々です。

経費執行の厳格さ

これは大学にもよるのかもしれませんが、やはり、科研費の執行は厳格に行われます。

通常の学内研究費と違い、購入したもの全てが検収の対象となるため、毎回事務を通してチェックしてもらわなければなりません。

また、10万を超える高額備品の購入となると、事前に相談が必要となります。

うちの大学は上記のように進むのですが、経費執行の方法は大学によって異なるかと思います。

もちろん、その根底には科研費の使用マニュアルがありますので、それに基づいたうえで、大学が正しい経費の執行かどうかをチェックするわけです。

今回、私はパソコンやモニターなどを買ったのですが、研究に関係するものでさえ、購入しても大丈夫か不安に感じた部分もあります(個人の性格によると思います)。

そのため、私の場合は科研費を使った経費執行については毎回事務方に相談し、その執行が可能かどうか判断してもらってから購入に踏み切っています。

そこまでやる必要はないかもしれませんが、万が一、不正が疑われるような執行があった場合、責任をとるのは研究者となりますので、石橋をたたいて渡るに越したことはないと思っています。

費用とお金

今回は科研費の執行についてお話ししてみました。

ネガティブなことも書きましたが、総じて、非常にありがたく使わせてもらっています。

あくまで研究を進めるうえで備品などは購入していますが、普段の大学業務においてもフル活用しています。

私は9回目の挑戦でようやく採択してもらいましたが、他の先生方も口をそろえて言うのは

「出し続けること」

が最も重要だということです。

単発で終わらないよう、採択された後こそ気を引き締めたいものです。

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